会計監査の確認状で暴かれた未請求売上による不正事例




監査法人による会計監査で不正会計が発覚する場合もあるのでしょうか? 
事例があれば教えて下さい。

【この記事の著者】 江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史
http://www.eguro-cpa.com/


上場企業では監査法人による会計監査が義務付けられています。
会計監査は不正を暴くことを主目的としている訳ではありませんが、その過程で不正が見つかることがあります。

今回ご紹介するのは、監査法人が送った「確認状」について、会社が認識している売掛金金額と取引先が認識している債務金額が不一致だったことから、不正取引が発覚した事例です。

確認状とは、監査法人がクライアントの銀行残高や債権・債務残高を確認するために、書面で(最近はWeb上の場合もあります)銀行や取引先に残高を確認する手続きです。
監査法人が直接発送し、直接回収することから、強力な監査手続きとして実施されます。

不正取引の内容と動機

この事例の不正取引は、特定従業員A氏による架空な売上計上でした。

その手法については後ほど述べますが、A氏が架空売上を行なった動機としては次のことがありました。

・特定の取引先と良好な関係を維持していくことを自身の営業の重要目標としていた
・競合他社が多い中、安い価格でサービス提供しなければ当該取引先との取引を継続できないという自身の能力不足を上司に露呈したくない、という思いがあった
・当該取引先からパフォーマンス不全を理由として、一定のプレッシャーをかけられていた


会社の帳簿上は、架空の売上が溜まっていたものの、取引先には未請求だったため、会社認識の債権額と取引先認識の債務額が異なり、それが監査法人の確認手続きで発覚したのです。

不正取引の手口

では、どのようにして従業員A氏は不正な売上を計上したのでしょうか。

対象会社では、営業担当者が取引先候補を見つけてくると、業務推進部に依頼して販売管理システムへ顧客マスター情報を登録していました。
そして、営業をして受注の実現可能性が高くなった顧客から、見積もり書または提案書を作成して、その内容を営業責任者に確認依頼します。
営業担当者は、営業責任者の確認を得た見積もり書または提案書を顧客にメール送信して提示します。
当該提示に対して顧客から承諾を得られたら、顧客へ受注申込書をメール送信して、顧客から署名押印いただいたものを、またメール返信してもらいます。

このような流れであることから、社内では受注に関するメールのやり取りのメーリングリストには、営業担当者、取引先に加えて関係者を含めるのがルールでした。

ところが、本件で従業員A氏は、取引先の担当者のみとメールのやり取りをして、メーリングリストに社内関係者を含めず、チームミーティングで受注報告を行なっていました。

さらに悪いことに、

 

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