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ペットを捨てると犯罪?拾っても犯罪?

20140926

動画解説はこちら

世話をしきれずにペットを捨ててしまう人がいる一方で、捨て犬や捨て猫などの保護活動をしている人もいます。

環境庁が公表している犬・猫の引取り・処分数の統計データによれば、平成24年度は犬が38,447匹、猫が123,400匹で計16万匹以上が殺処分。
一方、返還・譲渡数は、犬が33,269匹、猫が14,858匹となっています。

10年前の平成16年には、犬155,870匹と猫238,929匹の計394,799匹が殺処分されていたことから比べれば、最近では半分以下に減っているとはいえ、殺処分の数はまだまだ多いと言わざるを得ません。

ところで、ことわざに「捨てる神あれば拾う神あり」というものがありますが、じつは動物に関する法律では、どちらの「神」も犯罪になる可能性があるのです・・・

事件はこうして起きた

「捨て猫“逃がして”で書類送検…行政担当者困惑」(2014年5月20日 読売新聞)

愛知県動物保護管理センター知多支所の男性支所長(53)が、県警東海署の男性職員(59)に対し、同署に届けられた捨て猫を逃がすようそそのかしたとして、動物愛護管理法違反(遺棄)の教唆容疑で名古屋地検に書類送検されていたことがわかりました。

事件が起きたのは、2013年10月頃。
愛知県大府市で段ボール箱に入れられ、捨てられているメスの子猫を獣医師が発見し、東海署会計課に届けました。

男性職員が知多支所長に保護を依頼したところ、支所長は「病気やケガがなく、自力で生きていけるような場合は引き取れない」と拒否。
「逃がしてください」と、猫を遺棄するようそそのかしたということです。

そこで男性職員は、近くの畑に子猫を遺棄。
男性職員と支所長は、動物愛護管理法違反(遺棄)容疑で書類送検されたとのことです。

リーガルアイ

猫を捨てただけなのに書類送検!? と思う人もいるかもしれませんが、じつは動物愛護に関する法律があるのです。

「動物の愛護及び管理に関する法律」
第44条
1.愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に処する。

3.愛護動物を遺棄した者は、100万円以下の罰金に処する。

「愛護動物」は、以下のように規定されています。
①牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
②人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの

ちなみに、動物愛護管理法の第36条(負傷動物等の発見者の通報措置)では、道路や公園などの公共の場所で病気やケガをした犬や猫、または死体を発見した者は、すみやかに通報しなければならない、とあります。

発見者には、通報義務(努力義務)があるわけです。
これは覚えておいてください。

ところで、捨て犬や捨て猫を拾ってくるのはどうでしょうか?
じつは、ここにも犯罪となる危険性があるのです。

法律上、ペットは「物」なので、捨て犬や捨て猫を拾ってくると刑法の「遺失物等横領罪」になるかもしれません。

「刑法」
第254条(遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

とにかく、拾ったものは何でも自分の家に持って帰らずに、届けるようにしたほうがいいでしょう。

さて、その後の報道によると今回のようなケースでは、各自治体の対応がバラバラで統一されていないという問題が露呈してきたようです。

〇今回の行為は遺棄にあたるとは考えていない。
〇飼い主がいるかもしれない猫をむやみに引き取るわけにはいかない
〇法律で捨て犬や捨て猫の引き取り義務が明記されている以上、原則として引き取る。

これらのように、各自治体によって対応が違います。
管轄する環境省では、「遺棄にあたるかどうか、現実には判断が難しいケースもある。問題点があれば対処する必要を感じている」と説明しているようです。

これだけペットを飼う人が多く、また遺棄するケースが増えている現代では、法律の決まりを明確にする必要があるでしょう。

どこからが遺棄にあたり、どこまではあたらないのかの解釈について、今後、環境省から通達発信することを望みます。

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