隣家の失火で我が家が燃えた!一体、誰の責任?


イラスト 121

統計データ「平成26年(1月~12月)における火災の状況」(消防庁)によると、総出火件数は4万3741件で、前年より4354件減少。
総死者数は1678人で、前年より53人増加したということです。

出火原因の1位は放火、2位はタバコ、3位はコンロ、続いて放火の疑い、たき火、火入れ、ストーブという順番になっています。

火事の原因には、さまざまありますが、隣家からの失火、いわゆる「もらい火」で自宅が燃えてしまった場合、その責任は誰にあるのでしょうか?


問題の核心をチェック

親戚の家が全焼してしまったという相談者。
隣家からの失火が原因だったという。
叔父や叔母は生活必需品や財産、思い出の品まで全部が燃えてしまったと嘆いているが、このような場合、火元の隣家の住人に対して損害賠償請求できるのだろうか?
隣人トラブルのようになるのは避けたいというが…。


リーガルアイ




【失火による火災と損害賠償責任の関係】

故意、または過失によって他人に損害を与えた場合、民法が規定する「不法行為」に基づく損害賠償責任を負うことになります。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

言い換えれば、相手の不法行為によって損害を被った場合、被害者側は加害者側に対して損害賠償請求ができることになります。

では、もらい火による火災の場合も不法行為として、火元の住人に損害賠償請求できるでしょうか?

じつは、隣家などからの失火が原因の自宅などの火事の場合、法律の定めにより原則として損害賠償請求はできないのです。
「失火責任法」
民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス


失火責任法は、正式名称を「失火ノ責任ニ関スル法律」といい、1899(明治32)年3月に施行された、1項のみからなる法律です。

117年も前に規定さていることから現代語になっていませんが、現代語に訳すと次のようになります。
民法第709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火をした者に重大な過失があったときは、この限りでない。

旧来、日本は木造家屋が多く、密集した住宅街などでは延焼しやすいという特徴がありました。
江戸時代、「火事と喧嘩は江戸の華」といわれるほど江戸の町では火事が多く、267年間に約1800回余りの火事があったという記録もあるようです。

当時の消防団である町火消や武家火消はヒーローのような存在で、現代でも小説やドラマなどの題材になることもあります。

失火責任法は明治期になってから制定された法律ですが、民法第709条をそのまま適用してしまうと、失火をした人に過大な責任を課すことになる場合があることから、失火という軽過失の場合は損害賠償責任を負わない、としたのです。
ただし、条文にもあるように重過失の場合はその限りではないことに注意が必要です。

次のような判例があります。
・石油ストーブの火を消さずに給油した(東京高裁 平成15年8月27日判決)
・強風・乾燥注意報が出ているのに建築中の木造家屋の屋根にタバコを捨てた(名古屋地裁 昭和42年8月9日判決)
・つけっぱなしの電気コンロに毛布がかかった(札幌地裁 昭和53年8月22日判決)
・火災注意報が出ているのに庭でたき火をした(京都地裁 昭和58年1月28日判決)
・てんぷら油が入った鍋をコンロにかけたまま長時間その場を離れた(東京地裁 昭和57年3月29日判決)
・寝タバコをした(東京地裁 平成2年10月29日判決)


なお、最高裁の判例(昭和32年7月9日)には、重過失による失火について以下のような判決があります。
「失火ノ責任ニ関スル法律」但書の規定する「重大ナル過失」とは、通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解すべきである。

つまり、上記のようなケースの場合、重過失が認められて損害賠償請求が認められる可能性があるということです。

【失火の原因や状況によって損害賠償責任は変わってくる】

次に、失火の原因や状況の違いによって損害賠償責任はどう変わってくるのかを法的に見ていきます。

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