子供が柔道の時間に大ケガ…慰謝料請求はどうする?


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柔道が体育の授業の必須になっている中学校や高校があります。

また、オリンピックの競技にもなっている柔道は、日本のお家芸ともいわれるように、部活動でも盛んに行われています。

しかし、柔道はやはり武道であり格闘技であるため、子供の柔道事故が後を絶ちません。

万が一、柔道事故によって後遺症が残るような大ケガを負ったり、死亡してしまった場合、親はどのような対応をすればいいのでしょうか?
誰に対して慰謝料などの損害賠償を請求すればいいのでしょうか?

問題の核心をチェック

「柔道の部活中、昨年以降3人死亡 大外刈りが事故で最多」(2016年9月24日 朝日新聞デジタル)

中学で武道が必修化された2012年度から3年間、死亡事故がゼロだった柔道。
しかし、2015年から2016年にかけて、中学校と高校の部活動で3人の生徒が死亡する事故が発生。
また、同時期には3人の生徒が意識不明になる重大事故も起きている。

全日本柔道連盟への報告により明らかになった事故は次の通り。
2015年5月、大外刈りを受けた福岡市の中1女子が急性硬膜下血腫で死亡。
同年8月、横浜市の高1男子が柔道部の坂道ダッシュの練習中に倒れて熱中症で死亡。
2016年4月、仙台市の高3男子が袖釣り込み腰をかけた相手と倒れ込んで頸椎などを損傷して死亡。

名古屋大学大学院の調査によると、2011年度までの29年間に部活動や授業など学校の柔道で118人(中学40人、高校78人)が死亡しているが、大多数が部活動中の事故だったという。

事故は1年生が多く、中学校で53%、高校では65%で、入部して間もない初心者や、進学して練習レベルに慣れない段階の事故が多いとされる。

また、受傷部位は頭部が多く、かけられた技は大外刈りが多かった。
ほかに背負い投げや大内刈り、払い腰、体落としなどでの頭部への重傷事故が目立ったという。

リーガルアイ




【学校の授業での柔道事故】
学校での授業は、学校の教育活動の中心をなすものであり、生徒は教師の指導に従わなければいけません。
そのため、授業を実施する教師は、授業中に生徒の心身に生じうる危険を予見するとともに適切な指導をして、危険を回避するために適切な措置をとる注意義務があります。
また、学校の授業では、任意の活動である部活動よりも高度の注意義務を負っていると考えられます。


【学校の部活動での柔道事故】
教育活動の一環として行われる学校の課外のクラブ活動(部活動)においても、生徒は担当教諭の指導監督に従って行動するのであるから、担当教諭は、できる限り生徒の安全に関わる事故の危険性を具体的に予見し、その予見に基づいて当該事故の発生を未然に防止する措置を採り、クラブ活動(部活動)中の生徒を保護すべき注意義務を負います。
(最高裁平成18年3月13日判決)


【慰謝料などの損害賠償請求について】
教師が上記の注意義務に違反したために、生徒がケガを負ったり死亡した場合、民間学校(私立校)の場合には、教師個人に不法行為に基づく慰謝料など損害賠償責任が発生します。

「民法」
第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。



また、民間学校(私立校)の場合は、学校も債務不履行に基づく損害賠償責任や、教師の使用者として使用者責任が発生します。

「民法」
第715条(使用者等の責任)
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。



一方、国公立校の場合には、国家賠償法に基づき、国や地方公共団体に損害賠償責任が発生します。

「国家賠償法」
第1条
1.国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。



【学校での柔道事故の判例】
学校での柔道事故で、実際にどのような裁判が行われたのか、判例を見てみます。

<松山地裁平成5年12月8日判決>
中学3年生の体育の授業で、担当教諭の指示により柔道部員である生徒が大内刈りを掛け、受け身を失敗した相手の生徒が頭部外傷を負った。
ケガをした生徒は、頭蓋骨形成術を施行のため、頭部に強い衝撃を加えることがないようにしなければならず、日常生活が制約され、視力が低下するなどの後遺症が残った。
そのため、国家賠償法に基づき、地方公共団体に対して、4873万2492円の損害賠償を求めて提訴した。

判決では、以下のように教諭の注意義務、損害賠償義務を認め、裁判所は、地方公共団体に対し、1892万1547円の損害賠償を命じた。

「教諭としては、原告の体力及び運動能力が一般の生徒に比し劣っている上、原告がそれまでに柔道の経験がなく、受け身の練習をしたとはいえ、その練習時間も少なく、しかも、技を掛けて受け身をした経験がないため、技に対応して受け身をすることについては未熟であることを認識しており、現に、原告を含め生徒6人が1回目に大内刈りを掛けられたときには上手に受け身をすることができなかったことを十分にわかっていたのであるから、原告に対しては受け身のしやすい大腰等の技を掛けて受け身の練習を行わせるべきであり、また、技を掛けて受け身の練習を行わせるときには、柔道の指導方法を学んでいた教諭が自ら技を掛けるべきであった」

「教諭は、少し柔道の心得のあるとはいえ、同じ3年生の生徒Aに命じて、初心者にとっては受け身が必ずしも容易ではなく、受け身をしっかりと行わなければ頭部を打つ危険性を内在する大内刈りを掛けさせて受け身の練習を行わせ、技を掛けられた生徒全員が受け身に失敗していることを知りながら、生徒Aに対して、「中途半端に技を掛けるな」、「まだ受け身の不十分な生徒もいるから、相手の右袖を軽く持っておいてやれ」と指示し、原告らに対しては「踏ん張ってはいかん」と指示しただけで、原告ら生徒に2回目も同じ技を掛けさせたため、原告が受け身を失敗し、本件事故が発生したものである」

「したがって、教諭には、初心者の原告に受け身の練習をさせるに当たり、初心者にとっては受け身が必ずしも容易ではなく、受け身をしっかりと行わなければ頭部を打つ危険性を内在する大内刈りを掛けさせるのは適切ではなく、これを選択したこと自体に誤りがあるだけでなく、自ら技を掛けず、少し柔道の心得がある生徒Aに大内刈りを掛けさせた点についても、前記注意義務に違反しており、教諭には本件事故発生について過失がある」


<東京高裁平成25年7月3日判決>
高校の部活動である柔道部に1年生として在籍していた生徒が、柔道大会の県予選会の前に行われたウォーミングアップ練習において他の柔道部員に投げられた際、急性硬膜下血腫を発症した。
生徒には四肢麻痺で常時介護を要する重度の後遺障害が残ったため、学校に対し、合計2億5000万円余の損害賠償を求めて提訴した。

判決では、以下のように教諭の過失を認め、裁判所は学校に対し、1億8000万円余の損害賠償を命じた。

「生徒の柔道の技術が未熟であり、前日に脳震盪と診断されていること、練習相手である柔道部員との技能差、体格差が大きく、試合前であるから、試合に準ずる態度で臨むことが予見できたのであるから、生徒を練習に参加させないか、参加させるとしても、生徒の安全を確保するために適切な指導をすべきであったのに、それを怠った」


柔道は武道であり、身体接触を伴うものであることから、

 

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