税務調査官が脱税チェックで行う隠ぺい仮装行為とは?


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税務調査の際、調査官が脱税に対して重点的にチェックをする項目などはあるのでしょうか?
「隠ぺい仮装行為」というものを聞いたことがあるのですが、具体的にはどのような行為なのでしょうか?

【この記事の監修者】 讃良周泰税理士事務所 税理士 讃良 周泰


ある運送業の会社での話です。

その会社では、元請け業者から受注した仕事を十数人の一人親方のドライバーにアウトソーシングしていました。

それぞれの外注先の収入源は1社のみです。
雇用契約ではありませんが、実質的に社員と変わりません。

この会社の収益構造は、中間マージンから経費を賄う仕組みになっています。

たとえば、100万円の仕事を受注した場合には、ドライバーに85万円で発注します。
すると、残りの15万円がその会社の粗利益です。

つまり、マージン率は15%になります。


【外注費の前倒し計上とは?】
さて、この会社では中間マージンをもらう仕組みなので、仕事を受注したら月々の粗利益がマイナスになるはずがありません。
ところが、決算月だけは違って、なぜか外注費が売上高より多く計上されているのです。

このままで税金の計算をすれば間違いなく税務署にマークされます。
申告する書類の一つである「法人事業概況書」に、毎月の売上高と外注費の記載欄があるからです。

しかも、電子申告の普及により、データが送信されると自動的にKSK(国税総合管理システム)に登録されます。
税務署が税務調査の対象企業を選定するとき、年々このシステムへの依存度は強まる傾向にあります。

税理士としては、このままではいけないと考え、決算月だけ粗利益がマイナスの理由を社長に訊ねました。
すると、社長からは「ありのまま」という素っ気ない返事が返ってきました。

その回答に納得できないため、すかさず「中間マージンを取っているのにマイナスとは不自然ではないですか?」と質問しました。
それでも社長は、「先程、言ったとおり」と自分は正しいとの一点張りです。

そこで、請求書と納品書を拝見させてもらったところ、実際に2つの書類には食い違いがありました。

税法上、外注費の計上基準は納品日ですが、翌月に配送した分が決算月の請求金額に含まれていました。
その請求書をもとに会計処理がされているので、粗利益がマイナスになってもおかしくありません。

つまり、翌事業年度の分の外注費が前倒しに計上されていたわけです。
しかも、その会社からの指示に従って、各一人親方のドライバーは請求書を作成していました。

結局、社長には税法上の基準に修正してもらったことで、決算月の粗利益はプラスになりました。


【隠ぺい仮装行為とは?】
その会社が6期目に入ったとき、税務調査が入りました。

担当する調査官は部門のナンバー2のベテランです。
彼が税務調査で最初に目をつけたのは、請求書と納品書の差異でした。
狙いは、外注費が納品日を基準にして計上されているかどうかのチェックです。

翌事業年度分が前倒しで決算月の請求書に記載されている、と疑いをかける調査官に対して、経理担当役員は「ちゃんと処理しています」と反論しました。

この一言で税務調査は、ただの形式だけになりました。
調査官は会社の経理処理を信用したのか、その後は時間潰しの雑談ばかりです。

その結果、何も間違いを指摘されずに2日間の税務調査が終了したのです。

調査官が最初に目をつけたことから、同業他社で翌事業年度の外注費を前倒しで計上する処理が行われることがデータベース化されていることが推察されます。

もし間違いを発見したら、話はそこで終わりません。
外注先との力関係を利用して、外注費の前倒し計上が意図的に行われたかどうかを必ず確認してきます。

なぜなら、これを税法用語で「隠ぺい仮装行為」といい、追徴課税の中でも最も重いペナルティの「重加算税」の対象になるからです。
その裏を取るため、税務署が外注先に問い合わせる可能性は否定できません。

そもそも、

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