採用面接で経営者・人事担当者が注意すべきポイント


やたらと長話する人には要注意


採用面接試験は、応募者にとって面接官とのコミュニケーションをとりながら自己アピールをする場です。

しかし、一方的に自分の考えや思いをしゃべり続けるのは、「一生懸命さをアピールしたい!」という気持ちからなのでしょうが、面接官に対しては全くの逆効果です。

一方的にしゃべり続ける人は概ね自分本位で、「相手」の立場を理解していません。また、話をまとめる能力も乏しいため採用すべきではありません。

ただし、例えばそれなりのスキルがあり、他者との接触が少なく黙々と作業を行うような職種であれば採用を検討する余地もあるでしょう。

技術者の中途採用面接の冒頭で自己紹介してもらったケース


これは私が実際に採用面接官の一人として出席した際に遭遇したケースです。
 
技術者の中途採用の集団面接での冒頭、自己紹介をしていただくようお願いをしました。

するとその方は、話し始めてから5分経ち、さらに10分経ち……、そして15分経とうとしても一向に終わる気配がありませんでした。

結果

15分経った時点で、私の中では既に不採用が決定していました。
さすがにしびれを切らし、「もうそろそろ……」とストップをかけました。

しかも、一生懸命に話していただいた15分にもわたる長い自己紹介でしたが、正直なところほとんど記憶にありません。

まとまりのない抽象的な内容だったからでしょう。

求めるスキルも不足していたため会社はこの方を不採用としました。

まとまりのない話をダラダラとし続ける傾向が技術畑の応募者には多いと感じます。

確かに話をよく聞いてみないと、どの程度のスキルがあり、自社の業績にどれくらいの貢献ができるか判別することが難しい場合もあります。

履歴書や職務経歴書だけでは読み取ることができないからです。面接官もそこは十分理解しているのですが、自己紹介であればせいぜい1~3分間が限度だと思います。


自信過剰な応募者は入社後トラブルメーカーに・・・


採用する側にとって、自社の採用条件を高いレベルで満たし、人物的にも素晴らしいと言える方に入社してもらいたいと思うのは至極当然のことです。

もし、そのような方から実際に応募があったらどうしますか? 

履歴書や職務経歴書を見ただけの書類選考の時点で、採用した気満々になったりするのではないでしょうか。

その気持ちはよくわかります。しかし、次のようなケースもあり得るのです。

業界では有名な会社での職務経歴がある40代男性Aさんのケース

後から紹介する「条件にこだわりすぎる人・質問内容が細かい人」のケースでも登場する40代男性Aさんですが、この方から会社の採用専用メールアドレスに、履歴書と職務経歴書が添付されたメールが送られてきました。

私が開封・印刷し、その部門の担当役員に見せたところ、その担当役員は喜々とした表情となり、すぐに面接することになりました。

経歴によれば過去に数回転職していましたが、いずれも業界では有名な会社であり、所有しているスキルも役員が望んでいたものだったらしく、相当な期待があったと思われます。

結果

実際の面接の場にはその役員と私で臨みました。
しかし、私にはなんとも言えない違和感がずっと残っていました。

ハッキリ言ってしまえば「採用すべきではない」というのが結論でした。
その理由は、この会社に入社しても「馴染まない」と思ったからです。

「馴染まないなんて、抽象的で根拠もない理由ではないか!」と皆さんに怒られそうですが、私はいつでも採用面接をするたびに、目の前にいる方が入社した場合の配属予定先で「馴染むのか」「馴染まないのか」を頭の中でイメージします。

Aさんは自分の経歴やスキルによほどの自信があったのでしょう、面接中は自画自賛のオンパレードです。確かな実績と根拠に基づき話をされているのでしょうが、ここまで自信過剰(私にはそう思えたのです)だと、他の社員とうまくやっていけるとはとても思えなかったのです。

それでもAさんは入社しました。役員が推したから当然といえば当然です。

しかし、私の心配が的中し、入社間もなく自分の所属する部門だけでなく他の部門の社員とたび重なる揉め事を起こしてしまいました。

本人の主張していることはもっともらしいのですが、自分の専門外の分野にもどんどん顔を突っ込んでくるなど、会社の現況をあまりにも理解していません。

これでは会社は単なるトラブルメーカーを採用しただけです。


なぜ「いい人だったから」という理由で採用してしまうのか?


採用面接した方を「いい人だったから」という理由で採用して、後で痛い目に遭ったことはないでしょうか? 労働トラブルに巻き込まれた会社に出向き、紛争当事者の履歴書や職務経歴書を見せていただくと、その会社の採用基準にどう見ても合致しているとは思えない経歴であることは珍しくありません。

つまり、スキルや経験は足りないはずなのに、諸々の事情で面接に呼んでみたところ、「人柄が良さそうだった」「明るくハキハキ答えていた」等の理由がなぜか決定打となって採用に至っているのです。

でもなぜ「いい人だったから」という部分だけの評価で採用してしまうのでしょうか?

理由の一つには、企業、特に中小企業の「採用力」が不足していることが挙げられます。

応募者数は少ないが、それでも採用をしていかなければ現場が回らないという問題を恒常的に抱えている会社の場合、採用基準を引き下げざるを得ません。

また、もう一つの理由として、応募者の力を見抜く採用面接官の力量・経験不足が挙げられるでしょう。

人事部門の採用担当者として経験を積んできた場合ならともかく、一般的に中小企業にそのような人材がいることは稀でしょうから仕方のない面もあります。
 ただ、採用してはトラブルになるという状況が繰り返されるようならば、根本的に対策を練るべきであり、それができないのであれば人材採用などするべきではありません。

なお、次のケースでご紹介するような「かわいそうだったから採用」もやめましょう。

シングルマザーを正社員としての採用したIT企業のケース

仮にB子さんとしましょう。彼女はシングルマザーでした。
ハローワーク経由で採用したこともあり、条件を満たせば厚生労働省の助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)も受給することができます。

もちろん助成金目的の採用ではなく、人物本位による採用だったのですが、B子さんの家庭環境に同情し、採用してしまった面も否めません。入社後数か月間は勤務状況に問題はなく、助成金も無事満額受給することができました。

結果

入社数カ月して間もなく「解雇を考えているがどうしたらいいか……」と、B子さんを採用したIT企業からメールが届きました。

「どうしたのですか?」と状況を伺うと、金銭的トラブルだというのです。
金銭の横領や窃盗であれば、就業規則の「懲戒解雇事由」に該当します。

もちろんそれには、就業規則の懲戒に関する規定部分に、横領や窃盗が解雇事由に該当する旨が明記されていることが必要です。

また、懲戒解雇という社内処分とは別に刑事告訴を検討する余地もあります。

結果的には穏便に、かつ、迅速に解決しましたが、B子さんの家庭環境に同情し「かわいそうだったから採用」が裏目に出てしまったケースです。


 

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