大迷惑な“ごみ屋敷問題”にはどう対処する?

上記のように、ごみ屋敷問題は法律的に解決するのが難しいことから、近年、京都市や大阪市など各自治体が独自に条例を制定して対策に乗り出している例が増えています。

東京都足立区では、2013年に全国初となる「足立区生活環境の保全に関する条例」(通称:ごみ屋敷条例)を施行しています。

条例では、1.調査・指導・勧告の実施、2.命令・公表・代執行の実施、などを定めていることから、次のような対応が可能です。
・指導・勧告を行ったにもかかわらず、改善されない悪質なケースの場合、
命令・公表をする。
・正当な理由なく命令に従わなかった場合には、代執行を行なうことができる。

「行政代執行」とは、行政上の強制執行の一種で、義務者が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為をすることです。(「行政代執行法」第1条・2条)

京都市のケースのように、危険で不衛生なごみを持ち主が処分しない場合は、条例があれば都道府県や市が代わりに撤去などができるわけです。

【増え続ける空き家にも法律が施行された】
ところで、増え続ける「空き家」対策として、2015年5月に「空家対策特別措置法」が完全施行されました。

これは、、「空き家」の中でも特に倒壊の危険のあるものや衛生上有害なもの、周囲の景観を損なうものなどを「特定空き家」として、最終的には各自治体が行政代執行による撤去もできること等を定めたものです。

詳しい解説はこちら⇒
「危険!汚い!“空き家”を放置すると法律違反?」
https://myhoumu.jp/legaleye086/

放置された空き家は、将来的に“ごみ空き家”になる可能性もあります。
さまざまな法整備が進むことで、各自治体のごみ屋敷の対策にも変化が起き、前進していくことが期待されます。

ごみ屋敷問題に関しては、現状では地域住民や各自治体が当事者の住人と粘り強く話し合っていきながら解決策を探っていくしかありません

なお、民事上では「不法行為」に対する損害賠償を求める訴訟も検討できることは覚えておくといいでしょう。