急増する「ごみ屋敷」に対応するために各自治体が独自に条例を制定して対策に乗り出すケースが増えています。
東京都足立区では、2013年に「足立区生活環境の保全に関する条例」(通称・ごみ屋敷条例)が全国に先駆けて施行され、その後、大阪市や京都市、新宿区などでも次々に条例が制定されています。
現在では、ごみ屋敷に関する条例が制定されているのは全国で8市区にまで増えています。
その内容について、京都市の条例から抜粋します。
・ゴミを放置した人の氏名を書いた標識を現地に設置することができる
・私有地のごみは行政代執行で強制撤去することができる
・命令に従わなかった場合、5万円以下の過料
なお、今回のケースでも適用された「行政代執行」とは、行政上の強制執行の一種で、義務者が行政上の義務を履行しない場合に、行政庁が自ら義務者のなすべき行為をするものです。(「行政代執行法」第1条・2条)
【ごみ屋敷問題の解決に向けた今後の課題】
2015年5月、「空家対策特別措置法」が完全施行されました。
これは、増え続ける「空き家」の中でも特に倒壊の危険のあるものや衛生上有害なもの、周囲の景観を損なうものなどを「特定空き家」として、最終的には各自治体が行政代執行による撤去もできると定めています。
詳しい解説はこちら⇒「危険!汚い!空き家を放置すると法律違反?」
https://myhoumu.jp/legaleye086/
近年のこうした法整備の流れからも、周囲の環境悪化や地域住民の安全対策に問題がある「ごみ屋敷」については今後、全国的に対策が進んでいくことが考えられます。
しかし、精神疾患の人や、ごみの分別をする能力のない高齢者など、ごみを溜めてしまう人への生活支援や周辺の住人との関係改善などの課題もあります。
また、撤去費用には税金が使われることから議論も出ているようです。
京都市では、ごみ屋敷の対策条例に基づき有識者会議を設置し、条例の適用には福祉の観点からも議論を重ねたうえで執行を決定しているとしているように、今後も地域とそこに暮らす住民に対するきめ細かな対応が望まれます。
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