生前贈与があった場合の遺留分算定のための期間制限について、改正前は、相続人に対する特別受益として贈与された財産については、贈与時期にかかわらず、全て遺留分算定の基礎財産に算入することになっていました。
(民法第1044条、903条)
しかし、改正相続法では、次のように定められました。
その1
相続人に対する生前贈与については、特別受益に該当する贈与であり、かつ、相続開始前10年間にされたものに限り、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入する。
(民法第1044条3項)
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合には、10年より前にされたものであっても、遺留分算定のための財産の価額に算入する。
(同条1項)
その2
相続人以外の者に対する生前贈与については、相続開始前の1年間にされたものに限り、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入する。
ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与した場合には、1年より前にされたものであっても、遺留分算定のための財産の価額に算入する。
まとめ
このように、相続人に対する生前贈与に期間制限がかけられましたので、早期に生前贈与することにより、遺留分の対象からはずす、ということが可能となります。
新事業承継税制とともに、生前の自社株その他資産に移転が促進されるのではないか、と期待されています。