会社説明会を工夫しよう!
もし、本当に「良い人材を採用したい」あるいは、「採用のミスマッチを防ぎたい」と願っているのであれば、採用試験に会社説明会の時間を設けることは避けて通ることができないと考えます。
新卒採用試験であれば必ず会社説明会を実施するはずですが、中途採用試験の場合は、会社説明会は省略され、いきなり書類選考から面接へと進むことが一般的です。
新卒採用試験であれ、中途採用試験であれ、自社のことをしっかりと理解してもらうことなくイメージやブランドだけで「なんとなく入社した」とか、「(他の会社は落ちたので)仕方なく入社した」社員ばかりになれば、離職率が改善することは難しいでしょうし、労働トラブルはより発生しやすくなるかと思います。
そうなれば会社の持続的成長など望めるはずはありません。
貴社が「なかなか人が集まらない」「仕事が大変というイメージが世間に定着しており敬遠されやすい」業界であるならばなおのことです。
会社説明会を必ず実施するべきです。
では、会社説明会を行う場合。どのような内容を盛り込めばいいのでしょうか?
私は過去に次のようなことを実施してきましたので参考になればと思います。
自社製品に触れてもらう機会を設けて成功した例
ベンチャー企業で採用活動をしていた時の話です。
知名度があるわけではなく、業務内容もどちらかというと地味なイメージがあり、従業員数も100人に遠く及ばない無名の会社であったため、募集広告を出しても期待するほどの応募は滅多にありません。
そうかといって、誰でも彼でも採用することはせず、あくまでも「良い人材がいれば……」というスタンスです。
このような中小企業が自社の採用力を高めるために、「いったい何ができるか?」と検討した結果、「せっかく手に触れて見ることのできる自社製品があるので、会社説明会でただ製品説明をするだけではなく、実際に触れてもらい、素晴らしい製品を作って販売していることを感じてもらおう!」ということになりました。
結果
会社説明会の当日は、開発部門や営業部門のメンバーにも出席してもらい、参加者には複数の製品を手に取り、その場で簡単な操作もしてもらいました。
その結果、会社の製品がどのような現場で、どう役立っているのか具体的にイメージしてもらうことができました。
役員や人事担当者抜きの本音トークを実施し説明会が活性化した例
入社後に自分が仕事をしているイメージを掴んでもらうため、会社によっては会社説明会に入社1~2年という現場の若手社員を呼んで、「入社した理由」「現在の主な仕事」「仕事をしていて苦労したこと」「将来の目標」等を話してもらうことがあるかと思います。
しかし、それだけで終わらせていませんか?
もしそうであるなら、会社説明会終了後に自由参加型の「本音トークの場」を設けてみたらいかがでしょうか。
通常であれば、会社説明会の最後は「何か質問のある方はいらっしゃいませんか?」と質疑応答の時間になりますが、参加者の中にはそこでは質問しにくいという方もいます。
「なんでも聞いてくださいと言いながら、もしかしたら合否に影響があるのかもしれない」と疑心暗鬼になっていたり、単純に「大勢の前で手を挙げて質問するのが恥ずかしい」と思っていたりするからです。
会社側も限られた時間の中でスケジュールをキッチリ進行しようと頭の中がいっぱいで、抽象的で当り障りのない説明に終始してしまうことがあります。
したがって、会社説明会が滞りなく全て終了したとしても、参加者の中には「なんとなく消化不良状態……」「参加する意味がなかったかもしれない」と思っている人がいる可能性があります。
結果
この問題を解決するために、先に述べた「本音トークの場」を最後の最後に設けてみました。
ここで重要なポイントが2つあります。
一つは「会社説明会に出席していた役員や人事担当者には席をはずしてもらい、現場の社員と参加者だけの状況を作ってざっくばらんにトークさせる」ことです。
仮に「人事の人にチョット聞いておきたいことがある」というような希望があれば、その時に限って参加し、やり取りが終われば再度退席すればいいのです。
そしてもう一つは「聞かれた質問に対して可能な限り正直に話すこと」です。
一見当たり前のことのようですが、痛いところを突かれたくないのか、これができていない会社は非常に多いように感じます。
なんでもかんでも話せばいいとまでは言いませんが、自社の抱える問題点(例えば、「残業が多い」)も包み隠さず話すことが極めて重要です。
もしそこで人事は答えてもらっては絶対に困るという質問がどうしてもあるのなら、現場社員に予めそれを伝えておき、それ以外は真摯に、かつ正直に答えるように指導するのです。
私が過去に経験した中で「最悪な会社説明会」だと思ったのは、ホームページを見れば分かるような説明を延々としたり(実際、「募集要項」をそのまま読み上げていった人事の方がいます)、人事担当者が緊張でガチガチとなり、説明する声が震えて、時には詰まったりしたものです。
これでは参加している方たちの心を掴むことなどとてもできないでしょう。
つまり会社説明会を開催すればOKなのではなく、中身が重要なのは言うまでもありません。