税務調査では、「オーナー社長と同族法人間」や「同族関係会社間」の金銭の貸し借り、役員による会議費・交際費の支払いについて、重点的に調べられます。
オーナー社長が会社へ<無利息や低い利率で貸付をしている場合<、経済的利益の額が役員報酬(役員賞与)として認定される可能性があります。
また、金銭消費貸借契約書や取締役会議事録がなく、返済条件の設定や返済の事実もない場合、貸付けではなく役員報酬の支払いがあったものとして認定される可能性があります。
さらに、オーナー社長や役員が交際費や会議費として支出した金額が私的な支出とみなされると、役員賞与として認定される可能性があります。
もし役員賞与として認定された場合、報酬や賞与に対する源泉税、利益に加算される法人税や地方税、利益を圧縮して申告したことによるその他のペナルティ税など多額の税金が発生することになります。
税務調査において、適正な手続きで実施されたものと主張するためには、関連する議事録や契約書の事前準備は欠かせません。
そこで、必要な書式や資料および留意すべき事項について、税理士の伊藤俊一先生に解説していただきました。
主な内容
税理士 伊藤俊一
伊藤俊一税理士事務所 代表
愛知県生まれ。
愛知県立旭丘高校卒業、慶應義塾大学文学部入学。
平成29年3月一橋大学大学院国際企業戦略研究科経営法務専攻修士、令和4年3月同博士課程満期退学。
平成29年度慶應義塾大学「租税に関する訴訟の補佐人制度大学院特設講座」
修了。
事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは累積数百件のスキーム立案実行を経験。
税理士・ 公認会計士・弁護士・司法書士等からの御相談業務、会計事務所、税理士法人の顧問業務、租税法鑑定意見書作成等々について豊富な経験と実績を有する。
・東京税理士会芝支部所属
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
出版実績
「Q&A配当還元方式適用場面のすべて」ロギカ書房
「Q&A所得税法・消費税法における みなし譲渡のすべて」ロギカ書房
「Q&Aみなし配当のすべて」ロギカ書房
「Q&A中小企業のための資本戦略と実践的活用スキーム」ロギカ書房
「Q&A中小・零細企業のための事業承継戦略と実践的活用スキーム」ロギカ書房
「Q&A「税理士(FP)」「弁護士」「企業CFO」単独で完結できる 中小企業・零細企業のための M&A実践活用
スキーム」ロギカ書房
「Q&A課税実務における有利・不利判定」ロギカ書房
「新版 Q&Aみなし贈与のすべて」ロギカ書房
「新版 Q&A非上場株式の評価と戦略的活用手法のすべて」ロギカ書房
「税務署を納得させるエビデンス ―決定的証拠の集め方―1個人編」ぎょうせい
「税務署を納得させるエビデンス ―決定的証拠の集め方―2法人編」ぎょうせい
「税務署を納得させるエビデンス ―決定的証拠の集め方―3相続編」ぎょうせい
「非上場株式評価チェックシート」ロギカ書房
「[Q&A] 同族法人をめぐる オーナー社長の貸付金・借入金 消去の税務」ロギカ書房
「[Q&A] 自己株式の取得・処分・消却に係る税務」ロギカ書房