(質問)
X株式会社は、株主総会において、取締役全員の報酬総額の最高限度を定めたが、取締役でない従業員Yは、従業員としての給与を得ているが、税務上の「みなし役員」である。
Yの給与部分についても、株主総会で決議した報酬総額の範囲内である必要があるか。
(回答)
みなし役員の従業員の給与については、役員報酬ではありませんので、株主総会決議は不要です。
役員報酬については、定款の定めがなければ株主総会で決議することとされているのは、取締役どうしの馴れ合いにより、不当に報酬額がつり上げられることによって株主が害されるのを防止するためです。
他方、法人税法においては、役員給与は、一定限度でしか損金算入できません。
これは、役員給与が利益処分の性質を持っているため、無制限に損金算入を認めないこととしているためです。
この趣旨からすると、会社法上の役員でなくても、役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものに対する給与については、利益処分の性質を持つため、法人税法における役員給与に関する規制を及ぼすことが妥当と考えられるということになります。
このように、会社法と法人税法は趣旨が異なるため、決議の要否も異なります。