税務・法律トラブルQ&A 特別受益と無価値株式 今回は、特別受益についてです。 特別受益は、遺産分割において、 (1)遺贈された財産 (2)婚姻や養子縁組のために贈与された財産 (3)生計の資本として贈与された財産 を相続財産に持ち戻す制度です。 そして、その評価時点は、相続開始時点となります。 そうなると、被相続人の事業を長男が承継するため、債務超過の時に同族会社...
税務・法律トラブルQ&A 税理士法人の破産と社員税理士の責任 株式会社等は、「債務超過」あるいは「支払不能」の場合に破産申立ができます。 しかし、合名会社は、「支払不能」の場合にしか破産申立ができません(破産法16条)。 そして、税理士法48条21第6項は、 「破産法第十六条の規定の適用については、税理士法人は、合名会社とみなす。」とされていますので、 税理士法人も、「債務超過」...
税務・法律トラブルQ&A 障がい者の相続手続 今回は、【税理士を守る会】の質疑応答をご紹介します。 (質問) 相続人の中に自分で意思表示出来ない(特別障碍者、認知症者等)者がいる場合、遺産分割で注意すべきことをお教えください。 夫が被相続人で、法定相続人は配偶者と子3人(障碍者含む)です。 (回答) 意思表示ができないお子様が成年である場合と、まだ成年ではない場合...
税務・法律トラブルQ&A 議決権ゼロの属人的株式 今回は、【税理士を守る会】での質疑応答をご紹介します。 (質問) 顧問先の定款に 「株主〇〇〇は議決権を有しない。」 という条文がはいっています。 司法書士さんが作成したのものだそうです。 初めて観ますが、このような定款の定めは有効なのでしょうか。 (回答) 会社法109条2項において、公開会社でない株式会社は、 (1...
税務・法律トラブルQ&A みなし役員と給与について (質問) X株式会社は、株主総会において、取締役全員の報酬総額の最高限度を定めたが、取締役でない従業員Yは、従業員としての給与を得ているが、税務上の「みなし役員」である。 Yの給与部分についても、株主総会で決議した報酬総額の範囲内である必要があるか。 (回答) みなし役員の従業員の給与については、役員報酬ではありません...
税務・法律トラブルQ&A 養子縁組の無効 今回は、【税理士を守る会】の質疑応答をご紹介します。 (質問) 養子縁組の有効性についてお聞きしたいです。 被相続人と孫が死亡日に養子縁組をしています。 被相続人は認知症の気がありました。 届出の時点では意思能力を失っていましたが、それ以前に養子縁組に合意していた場合、養子縁組は有効に成立するという認識でよろしいでしょ...
税務・法律トラブルQ&A 清算人の破産申立義務 社長が高齢になっている関与先も多いと思います。 事業の承継者がいればいいですが、承継者がおらず、 会社をたたんでしまおう、という考える社長も多いです。 会社を解散させて清算する、ということです。 この時に一つ気をつけていただきたい点があります。 当然のことですが、株式会社は解散しただけでは 法人格は消滅せず、清算が結了...
税務・法律トラブルQ&A 近時の重加算税取消裁決 令和元年6月24日裁決です。 (事案) ●請求人は運送業を営んでいる。 ●請求人は、従業員分の売上げやその費用の額の一部を 事業所得の計算の起訴から除外して収支内訳書を 作成した。 ●課税庁が過少申告加算税、延滞税、重加算税に 賦課決定処分をした。 (裁決) ●請求人は、従業員の売上げやその費用の額が本件事業に ...
税務・法律トラブルQ&A 無申告事例において重加算税賦課決定が取り消された裁決例 令和2年2月13日裁決です。 (事案) ●請求人は、昭和60年に設立された有限会社である。 ●請求人は、設立以降、平成15年の事業年度までは 税理士に依頼し、確定申告をしていたが、 翌事業年度から申告していない。 ●平成30年に税務調査が行われ、調査の結果、 期限後申告をした。 ●課税庁は、本件無申告は隠蔽又は仮...
税務・法律トラブルQ&A 会計法人への委託も守秘義務に注意 以前の記事で、 税理士が記帳代行業務も受託した場合に、その全部又は一部を外部の業者に委託する場合の民法上及び税理士法上の注意 について解説しました。 民法上、依頼者の許可を得ないと、原則として委任事務を再委託することはできず、税理士法上の守秘義務により、依頼者の許可を得ないと、原則として、秘密を漏らしてはならない、とい...
税務・法律トラブルQ&A 遺留分侵害額請求にかかる質疑応答事例 今回は、国税庁より、 「遺留分侵害額請求に係る質疑応答事例」 が公開されましたので、ご紹介します。 すでに知っている先生は、読み飛ばして いただければと思います。 【タイトル】 遺留分侵害額の請求に伴い取得した宅地に係る 小規模宅地等の特例の適用の可否 (令和元年7月1日以後に開始した相続) 【照会要旨】 被相続人甲(...
税務・法律トラブルQ&A 未分割申告の税賠判例 「未分割申告の税賠判例(税理士敗訴)」 についてご紹介します。 東京地裁平成30年2月19日判決 (TAINS Z999-0172) 未分割申告により税理士敗訴(損害賠償が認められた) となったものです。 (事案) 被相続人:A 相続人:X、B、C、D、E ●Aは遺言により、全財産をXに相続させる旨 意思表示をした。...
税務・法律トラブルQ&A 税理士法人と会計業務の注意(競業禁止規定) 税理士法人向けに、 ちょっと注意しておかなければならない点 について、解説をします。 税理士法人の社員税理士には、競業禁止規定があります。 ==================== 税理士法48条の14 1項 税理士法人の社員は、自己若しくは第三者のために その税理士法人の業務の範囲に属する業務を行い、 又は他の税理士...
税務・法律トラブルQ&A 無報酬の税理士業務でも税賠の対象になるか? 「無報酬でサービスでやってあげた業務でも、 税理士損害賠償の対象になるか」 という問題を解説します。 「無報酬なのだから、委任契約は 成立していないのではないか?」 「無報酬なのだから、損害賠償責任は 成立しないのではないか?」 というような疑問もあると思います。 さて、この点を考えるには、 民法から考えていく必...
税務・法律トラブルQ&A 歯科医師に対するカルテ開示 「税理士を守る会」をご利用の先生より寄せられた質問のうち 他の先生にも役立つと思われるものを一般化したものです。 【質問】 歯科医院の税務調査で、患者のカルテの 開示を求められた場合、個人情報保護法を 根拠として拒否ができますか。 拒否できないとすると、 税務署側に提示の要求ができる という規定があるのでしようか 。 ...
税務・法律トラブルQ&A 民法改正による身元保証契約の注意点 民法改正により、身元保証契約の内容も 変更しなければなりませんので、ご注意ください。 まず、事務所と身元保証人との間で、 職員の行為によって事務所が受ける 損害の賠償を約束する身元保証契約を 締結した場合には、 「身元保証に関する法律」 の適用を受けることになります。 この法律では、身元保証契約の期間(期間の 定めのな...
税務・法律トラブルQ&A 給与か?外注費か?スナックのホステスへの支払 スナックのホステスへの支払が、 ある人は【給与】、ある人は【外注費】 とされた裁決例のご紹介です。 一度は読んだ方が多いと思いますが、 国税不服審判所平成26年7月1日裁決 (TAINS F0-1-561)です。 誤解されることもある裁決例なので、注意点を解説します。 (事案) スナックを営む請求人が、ホステスに 支払...
税務・法律トラブルQ&A 弁理士が契約書に貼る印紙 税理士の先生より「弁理士が契約書に貼る印紙」について、 税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。 質問 弁理士業務の場合、「特許を取得する」といったことを仕事の完成として請け負っていないのは明らかなのですが、特許出願し、その後に特許取得に向けた手続をするのが依頼内容の場合、その出願や手続の実行終了が...
税務・法律トラブルQ&A 所得税確定申告の譲渡費用 税理士の先生より「所得税確定申告の譲渡費用」について、 税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。 質問 兄弟 3 人で、親の土地、建物を 3 分の 1 ずつ共有で相続したものを平成30年に譲渡し、ここで譲渡所得の申告を依頼されました。 小職の方で譲渡費用として計上できるものは仲介料、印紙代だけと説明...
税務・法律トラブルQ&A 個別和解型の特別清算 税理士の先生より「個別和解型の特別清算」について、 税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。 質問 子会社の事業継続が困難にあることから、子会社に対する貸付金について税務的に損金参入を可能にするために特別精算の個別和解型を検討しています。 しかし、個別和解型における債権放棄の損金処理を否認した判例が...