今回は、国税庁より、

「遺留分侵害額請求に係る質疑応答事例」

が公開されましたので、ご紹介します。

すでに知っている先生は、読み飛ばして
いただければと思います。

【タイトル】

遺留分侵害額の請求に伴い取得した宅地に係る
小規模宅地等の特例の適用の可否
(令和元年7月1日以後に開始した相続)

【照会要旨】

被相続人甲(令和元年8月1日相続開始)の相続人は、
長男乙と長女丙の2名です。

乙は甲の遺産のうちA宅地(特定居住用宅地等)及び
B宅地(特定事業用宅地等)を遺贈により取得し、
相続税の申告に当たってこれらの宅地について
小規模宅地等の特例を適用して期限内に申告しました。
(小規模宅地等の特例の適用要件はすべて満たしています)

その後、丙から遺留分侵害額の請求がなされ、
家庭裁判所の調停の結果、乙は丙に対し遺留分侵害額に
相当する金銭を支払うこととなりましたが、乙はこれに
代えてB宅地の所有権を丙に移転させました。
(移転は相続税の申告期限後に行われました)

丙は修正申告の際にB宅地について小規模宅地等の
特例の適用を受けることができますか。

【国税庁による回答は、ウェブサイトで】
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/01/05.htm

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上記について、法的な解説をします。

答えとしては、

・乙には譲渡所得税

・丙は小規模宅地の特例は不適用

となります。

原理は、同じです。

2020年7月1日より前に開始された相続では、
不動産について、遺留分減殺請求権が行使された時、
不動産は物権共有となっていました。

しかし、相続法改正により、遺留分侵害額請求は、
【金銭請求】となりました。

したがって、たとえば、不動産について、
遺留分侵害額請求権を行使した場合には、
物権共有ではなく、「金●●円の請求権」となります。

そうすると、乙から見ると、「金●●円の債務」
となるわけで、この債務について、不動産の所有権を
丙に移転することにより、債務を消滅させる、
ということになるので、法律上、「代物弁済」となります。

ということは、乙は、その所有する不動産を丙に譲渡して
債務を消滅させた、ということになるので、
通常の不動産譲渡と同様に、譲渡所得税の課税問題
となります。

そして、丙は、金銭請求権の弁済に代えて不動産の
所有権に移転を受けた、ということになるため、
「相続又は遺贈により取得した」ことにはなりません。

したがって、小規模宅地の特例の要件を満たさない、
という結論になります。

法律上の性質を知っていれば
類似事例も全て解決できると思いますが、
結論だけ憶えていると、基本的なことでも
「あれ?」となることもあるかと思いますので、
念のための解説でした。

今回は、以上です。

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