税理士の先生より「源泉徴収されていなかった役員報酬について」について、税務質問会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

新規にご契約する予定となっている会社(3月決算)の役員報酬ですが、月額8万円から月額38万円に増額をされているようですが、源泉徴収されていません。
また、定額支給なのは支給傾向からわかるのですが、厳密には毎月支給されておらず、次のような支給状況となっています。
4月 8万(他に5万円の引き出しもあり。役員報酬の支払いに充てた?)
6月~10月 毎月38万円
12月 同日に38万円を2回
2月 38万円 
3月 同日に38万円を2回
支払いは主に会社の預金口座から振込みとなっていますが、預金口座から現金で引き出されていることも数回ございました。
以上の前提で質問がございます。

(役員報酬増額決定の株主総会議事録作成について)
株主は代表者の方1人(会社の登記簿はまだ確認しておりませんが、役員も代表者の方1人ではないかと思われますので取締役会も設置されていないと思われます)のようですので、おそらく何ら議事録も作成されていないと思われます。このようないわゆる1人会社でも株主総会議事録を作成しておく方がよいかとは思いますが、増額から約1年経過している状態で、過去の株主総会議事録を作成することについて後任の税理士が助言することは問題ないのでしょうか?

(実質的な増額時期について)
増額はおそらく前回の決算後にお決めになられたのではないかと思われます(前任の税理士先生から役員報酬を増額したいというご相談があり、増額しても良いというご回答をされたというお話は伺っております)。5月に全く支払いがありませんので、①5月支給分を6月に支給されたと考えるのが自然かと思われます。ただ、4月に8万円の支払の前に5万円の引き出しがあるため、②6月支給分から増額したとも言えなくはありませんが、そうすると今年の3月末時点で3万円の未払いが生じ不自然です。
いつ増額決議をされたか委嘱者の方には確認いたしますが、仮に税務調査があった場合に支給状況も考慮されると思われます。上記のような通帳の引き出し・振込状況があるので、①の通り5月支給分から増額したとする株主総会議事録を作成した方が無難である旨委嘱者の方に助言しようと思いますが、問題ないでしょうか?

(実質的に未支給となる今年の3月分の役員報酬について)
実質的に未支給ですので、未払金で処理すべきかと思いますが、過去の処理を確認すると通帳からの引き出し又は振込がない役員報酬については、代表者からの短期借入金で処理されています。この場合、過去の処理を踏襲して今年の3月分の役員報酬も短期借入金で処理した方が良いのでしょうか?なお、今年の3月末現在約120万円の代表者に対する短期借入金が残高として残っています。(個人的には未払金で処理すべきと思っています。)

(源泉徴収税額について)
株主総会議事録で支給額を定めておけば、税引き手取り額で定められているとはいえないと思いますので、単純に月額38万円を額面金額として源泉徴収税額を計算して問題ないでしょうか?

(不納付加算税及び延滞税について)
不納付加算税については、調査通知前の納付※ですので、納税額の5%で計算されることになると思います。扶養親族等の数にもよりますが、最大でも源泉徴収税額は15,000円ほどになりますので、不納付加算税は約750円となり、5000円未満となります。従って不納付加算税は賦課されないという認識で問題ないでしょうか。
※納期限から1ヶ月以上経過しておりますので、不納付加算税の免除はできない。

また、延滞税ですが、源泉所得税(納期特例は選択していない)場合の法定納期限は支給日の翌月10日となりますので、納期限の翌日から完納の日までの延滞期間のすべてについて、延滞税の特例基準割合+1%(令和3年は2.5%、令和4年は2.4%)の税率で延滞税計算が行われる(1年以上経過している場合は、延滞期間は1年間(365日)で計算)という認識で問題ないでしょうか?

(参考法令・URL等)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai.htm
国税通則法67条
所得税法基本通達181~223共-4"

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