税理士の先生より「役員退職慰労金の決定方法」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
同族会社における役員の退職慰労金について、株主総会で具体的な金額の決定がない場合において、株主総会では、取締役会に一任し、さらに取締役会では、具体的な金額の決定については、代表取締役に一任するという決議は可能でしょうか。
可能な場合、または不可能な場合の法的な根拠を教えてください。
この場合、役員退職慰労金規定が存在し、それに従った金額を決定するものとします。
回答
役員の退職慰労金について、最高裁昭和39年12月11日判決(判例時報401号61頁)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない」としています。
しかし、役員報酬を株主総会決議事項にしているのは、取締役のお手盛りを防止することが趣旨ですから、実務上は、株主総会において、
(1)役員退職金規程等の一定の基準に従って退職慰労金を支給するものとし、
(2)具体的な金額、支給期日、支給方法は取締役会の決定に一任する旨を決議することが多いように思います。
前記最高裁判決では、
(1)会社の業績はもちろん、退職役員の勤続年数、担当業務、功績の軽重等から割り出した一定の基準に従って退職慰労金を支給する慣例があったことから、その慣例によって支給することを前提として、
(2)退職慰労金の決定を取締役に一任する旨の株主総会決議がなされた事案において、「株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべき」として、
有効と判断しました。
したがって、・・・
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