税理士の先生より「役員の退職金の支給時期」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

役員の死亡退職後、 3 年経過して、役員の遺族から「退職金が支払われていない」として、退職慰労金の支払いを要求されています。

退職した年度に退任届による登記の抹消はしておりますが、そのときの株主総会の議事録には、退職金についてのことは何も触れておりません。

会社法と税法の視点で、どのようにアドバイスをすればよいでしょうか。

回答

会社法の視点では、定款の定めまたは株主総会決議に従って支給することになりますので、臨時株主総会で決議をすることが必要です。

税法の観点では、まず、最高裁昭和47年12月26日判決(TAINS Z066-3017)を検討します。

同判決は、「退職手当金等が旧相続税法(昭和22年法律87号) 4 条 1 項 4号に該当するというためには、実質上、相続によって財産を取得したのと同視すべき関係にあるという以上、被相続人の死亡による相続開始の際、その支給額はたとえ未確定であるにせよ、少なくとも退職金の支給されること自体は、退職手当金支給規定その他明示または黙示の契約等により、当然に予定された場合であることを要する」としています。

上記は、退職後、死亡した事案ですが、裁判所は、退職手当金が、退職者に支給される「べき」事案であるかどうかを問題にしているものです。

したがって、関与先に退職慰労金支給規定があるか、過去の役員に支払った実績があるか、本件役員には退職慰労金を支払うべき事情があるか、などの事情が認められるかどうか、という点を検討することになるかと思います。

かかる事情がない場合には、相続によって財産を取得したことにはならず、退職慰労金として相続人に対して支払ったとしても、一時所得になり、所得税の課税対象となるとされています。

そして、法人の方は、金銭を会社と無関係の人に贈与したということになりますので、寄附金として認識されるのではないかと思います。

次に、上記の事情が認められる場合には、・・・

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