税理士の先生より「法人の存続と退職金」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

父親が創業者である株式会社について、長男が承継しなかったことから、事業を停止し、休眠になりました。

会社には預金が300万円残っており、債務はありません。

父親は、当該会社に愛着を持っているので、存命中は残しておきたいと思いますが、解散決議のみ行い、清算せずに保留にしておくことに問題はあるでしょうか。

また、預金300万円を役員退職金として父親に支払うことは可能でしょうか。

回答

株式会社が解散した場合、通常、代表者が清算人となって引き続き清算事務を行うことになります。

そこで、代表者が「退職」したことになるのかどうか、という点が問題となりますが、この点は、所基通30-2-⑹で、「⑹ 法人が解散した場合において引き続き役員又は使用人として清算事務に従事する者に対し、その解散前の勤続期間に係る退職手当等として支払われる給与」は、退職所得となる旨規定されていますので、クリアできるかと思います。

次に、役員退職給与の過大性についてですが、300万円ということであれば、この点もあまり問題にならないと思われます。

気になるのは、休眠中ということなので、このタイミングでの損金性が認められるか、という点です。

損金は費用収益対応の原則により、今期の収益に対応する費用が損金として認められます。

役員退職慰労金は、当該役員の過去の業務執行が今期の業績に結実していると評価されるため、損金性が認められるものと考えられるからです。

しかし、休眠し、その後資産に変動がないということであれば、残っている300万円が、まさに当該代表者の過去の業務執行の結果とも言えるため、損金性を認められてしかるべき、と考えることができると思います。

そして、休眠のままにしておくと、みなし解散として強制的に解散になることがありますので、そうであれば、こちらのタイミングで解散させておいた方がよろしいかと思います。

よって結論としては、・・・

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