税理士の先生より「完成途中の建物の取得費」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
顧問先が、建築業者B社に建物建築を発注しました。
しかし、途中でトラブルになり、B社との請負契約を解除しました。
その後、建築業者C社に途中から建築を発注し、完成引渡しを受けました。
B社とは、1 億円で請負工事契約を締結し、3,000万円を支払済みです。
その他にB社に対して支払いをしておらず、請負代金額で裁判になる予定です。
C社には、追加工事等も含めて、4,000万円を支払っています。
B社からは、5,000万円の請求を受けていますが、顧問先は、3,000万円が妥当と考えています。
この場合の顧問先の建物の取得価額を算定するにあたり、B社の工事代金相当額を見積もる必要があますが、以下のどの方法をとればいいでしょうか?
⑴ 工程表をもらい、工事代金×着手日から各工程が完了した日までの日数/工期の日数で算定した金額
⑵ 第三者の意見として、C社においてB社の工事がどれくらいの対価にあたるのか見積もってもらう。
⑶ 折衷案として顧問先とB社が提示している金額の間
回答
減価償却資産の取得価額については、法人税法施行令54条 1 項が、「購入の代価」としています。
この計算方法が争われた事例は少なく、不動産売買における不相当な売買価格において争われた事案において、国税不服審判所平成30年 5 月 7 日裁決は、「当該建物に係る減価償却費の計算に際し、減価償却資産の「購入の代価」については、合理的な基準により算定される当該資産の合理的な価額」としています。
そして、本件では、最終的には裁判所により適正な価格が算定されることを想定すると、裁判所により、適正な請負代金額として、どのような算定がされるのかを基準にするのが適当と考えます。
その観点からは、(1)の工程表基準は採用されないことになります。
裁判において請負工事の出来高の工事代金が争われる場合には、見積書や契約書添付の工事明細のうち、どの程度の工事が完了しているか、を分析して判断されます(建築士等の専門家の意見を参考にするケースが多いです)。
したがって、・・・
この記事の全文については、税理士を守る会に入会すると読むことができます。