税理士の先生より「株価評価の資料不足と税理士の損害賠償責任」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

相続税申告の依頼がありました。被相続人は会社を経営しており会社の株を保有していました。したがって、相続税の申告にあたり、株価評価をする必要があります。

しかし、当該法人は、これまで法人税の申告をしておらず、帳簿もない、ということなので、株価評価ができず、かつ遡って期限後申告をすることもできません。

このような状態で株価を概算評価し、相続税申告をし、後日の税務調査で否認されて追加の納税、加算税、延滞税、重加算税等が賦課された場合、税理士損害賠償責任の対象になるでしょうか。

契約書に「損害賠償請求をしない」旨を記載しようと思っています。

回答

本件は、相続税申告業務となりますので、対消費者との契約であり、消費者契約法の適用対象となります。

消費者契約法第 8 条には次のような条項があります(2019年 6 月15日改正法施行)。

消費者契約法第 8 条

次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする

一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

したがって、契約書で「損害賠償請求をしない」旨記載しても、・・・

さらに詳しくは「税理士を守る会(初月無料)」にて解説しています。

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