「税務署に否認された……」
「この課税処分、本当に正しいのか?」
「どう立証すれば、納税者の主張が通るのか?」
税務調査に直面したとき、納税者や税理士にとって最大の課題は「どのように主張・立証すれば処分を覆せるか」という点です。
ですが、これは簡単な問題ではありません。
そんな悩みに、実際に処分が取り消された裁決例から“勝てる反論”のヒントを得ようというのが、今回ご紹介する書籍です。
不服申立てが“逆転勝利”する確率は?
国税不服審判所によれば、
令和4年度の審査請求の処理件数は3,159件、処理された件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数(認容件数)は225件(一部認容153件、全部認容72件)で7.1%。
令和3年度は13.0%でした。
この数字、どう見えるでしょうか?
「たったそれだけ?」と思われるかもしれません。
ですが裏を返せば、正しく立証すれば、税務署の処分をひっくり返せる可能性があるということでもあるのです。
裁決は「どの事実」を重視したのか?
一般的な判例解説では、証拠の分析にはあまり踏み込みません。
しかし本書『これなら税務署も納得!逆転裁決に学ぶ税務調査の立証ポイント』では
令和元年以降に国税不服審判所のホームページで公開された、処分を取り消した20の公表裁決をピックアップし、それぞれの事案において
・裁決例がどのような事実を重視して事実認定をしたのか
・納税者はどのような視点から事実を探し出し、主張立証すればよいのか
という観点から、分析しています。
税務調査段階でも“活かせる知識”
本書は不服申立てに関する内容を扱っていますが、実は税務調査の初期段階でも役立つヒントが満載です。
なぜなら、否認されやすい論点、主張の切り口、立証のポイントが明確に示されているからです。
構成も非常に実務的で、
① 事案の概要
② 争点
③ 原処分庁の主張
④ 裁決
⑤ 立証ポイント
という流れで整理していますので、原処分庁がどのような事実を抽出して否認をし、それに対して裁決は、どのような事実を重視して原処分庁の主張を覆したかがよくわかります。
税務署を納得させるには「事実」をどう見せるかがすべて
税務調査や不服申立てで納税者の主張を通すには、証拠と論理の積み上げが不可欠です。
本書では、それを実例から具体的に学ぶことができます。
逆転劇の裏にあった“決め手”とは何だったのか。
そして、自分や顧問先のケースで活かせるポイントは何か。
この一冊で、あなたの税務対応力が一段と強化されるはずです。