決算申告のみを継続して受任している法人について、今期の決算申告をめぐり顧問先との間で行き違いが生じています。

当事務所としては、当初の説明どおり一定の条件の下で今回の決算申告を受任する意思を示しており、現時点では相手方に具体的な損害も発生していないと考えています。

このような状況で、当事務所が法的責任などを追及される可能性があるかについて、ご相談があります。

【前提】
株式会社Aについて、当事務所では通常の顧問契約ではなく、決算申告業務のみを約5年間継続して受任しています。

月額の顧問料は受け取っておらず、毎期の決算申告時のみ業務を行っています。

申告報酬は、決算申告ごとに約14万円です。

株式会社Aの業績については、毎期の売上が数百万円程度である一方、毎期約2,000万円程度の赤字が発生しています。

これまでの累積損失は約1億円程度となっており、代表者である甲からの借入金によって赤字を補填している状況です。

当事務所としては通常の税務顧問契約を締結しているわけではないため、日常的な相談や継続的な税務検討を行うのではなく、申告時に必要な決算申告業務を行うという形で関与しています。

株式会社Aの代表者であり、全株主でもある甲は高齢です。

甲は過去に事業を成功させ、一定の資産を保有しており、新製品の開発を目的として株式会社Aで事業を行っています。

今回、甲から年齢なども考慮し、株式会社Aの株式を第三者へ譲渡する予定であるとの連絡を受けました。

株式会社Aは●月決算ですが、甲から、今回の決算申告までは当事務所に依頼したいとの相談を受けました。

そこで当事務所としては、株式譲渡や、甲からの借入金に関する債務免除などが行われず、従来どおりの状況で決算申告を行うのであれば、今回の決算申告は受任できると回答しました。

その理由として、株式譲渡のタイミングで債務免除が行われる場合には、債務免除益による株価への影響や、新たな株主に対する贈与などについて、別途税務上の論点を検討する必要があるためです。

そのため、そのような取引が行われる前の従来どおりの決算申告であれば、通常の申告業務として受任できる旨を伝えました。

これに対し、甲からはそのように進める旨の返答がありました。

株式譲渡後については、株式を取得した者が新たな税理士を選任する予定であり、その時点で当事務所は株式会社Aへの関与を終了することになっています。

このような経緯で進んでいたところ、新たに関与する予定の税理士事務所から甲に対し、「株式譲渡のタイミングなどについてスキームの検討を行いたいため、当事務所と甲との間でミーティングを行いたい」との連絡があったことを、甲から報告されました。

当事務所としては繁忙期でもあり、そのような打合せに参加する時間を確保することが困難であったため、次の税理士事務所のみで検討および判断を進めていただきたい旨を回答しました。

形式上は繁忙期で時間がないことを理由としましたが、実際には、今回の依頼内容は従来の決算申告のみを受任するという業務内容とは異なり、株式譲渡のスキームや債務免除などについて新たな検討とリスクを伴うため、従来の受任範囲を超えるものと考えています。

また、検討を要する税務案件について、2つの税理士事務所が共同で検討することは通常想定しておらず、判断や責任の所在が不明確になるおそれがあることも、当事務所が打合せへの参加を控えた理由です。

一度は、次の税理士事務所のみで検討を進めることについて了承を得ました。

その後、次の税理士事務所において必要な情報を把握できるよう、当事務所の担当者から甲に対し、会計データを送付する旨の連絡をしました。

その際、担当者がメールに以下の文言を書き加えました。

「お力になれず申し訳ございません。よろしくお願いいたします。」

この文言は、株式譲渡に関するスキームの検討や打合せに参加できないことについて、「お力になれず申し訳ない」という趣旨で記載したものです。

その後、ある週の金曜日の夜に、甲から当事務所の担当者宛てにLINEで以下のメッセージが送られていました。

「本日いただいたメールは、最後の決算も放棄するという意味でしょうか。ご回答ください」

しかし、担当者はすでに帰宅しており、その時点では当該メッセージを確認していませんでした。

その後、翌日の土曜日に、甲からさらに以下のメッセージが送られてきました。

「今回の一方的な違法で非道な措置について、法的措置を取らせていただきます」

その後、当事務所の担当者から甲に対し、以下の内容のメッセージを送信しました。

「『お力になれず』という表現は、決算申告を行わないという意味ではなく、株式譲渡に関する話に加わることができず申し訳ないという意味です。当初のお話どおり、今までどおりの決算であれば、今回までお引き受けできます。」

しかし、現在まで甲から返信はありません。

また、数日後に当事務所から電話もしましたが、甲は電話に出た後、会話をすることなくすぐに電話を切りました。

当事務所では通常、税務申告業務について契約書を締結しています。

しかし、今回の株式会社Aについては、確認したところ、株式会社Aと当事務所との間で、書面による税務申告業務の契約書を締結していなかったようです

当事務所としては、現時点において株式会社Aまたは甲に対し、具体的な不利益を与えた事実はないと考えています。

また、当初から、株式譲渡や債務免除などが今回の決算申告の対象となる時期以降に行われ、従来どおりの決算内容であれば、今回の決算申告については受任する旨を説明しており、現在もその考えは変わっていません。

【質問】

このような状況において、当事務所としては、当初の説明どおり、一定の条件の下で今回の決算申告を引き受ける意思を明確に伝えています。

また、現時点では決算申告を拒否したわけではなく、株式会社Aまたは甲に対して具体的な損害も発生していないと考えています。

一方で、書面による契約書を締結していないことから、過去約5年間にわたり決算申告業務を継続して受任してきた経緯によって、今回の決算申告についても何らかの契約関係や受任義務が認められる可能性があるのか気になっています。

当事務所は、このような経緯の中で、株式会社Aまたは甲から債務不履行、不法行為その他の責任を追及される可能性があるでしょうか

また、今後、甲から決算申告を依頼しない旨の連絡があった場合や、反対に当事務所が今回の決算申告を受任しないことになった場合、それぞれどのような対応を取るべきかについてもご意見を伺いたいです。

さらに、現時点で当事務所が保管している会計データや過去の資料について、今後のトラブルを防止するために、どのような対応をしておくべきかについてもご教示いただきたいです。

この質疑応答の全文については、【税理士を守る会】に
入会すると読むことができます

>>>初月無料の「税理士を守る会」の詳細はこちら


税理士を守る会 税理士専用の顧問弁護士掲示板

おすすめの記事