相続の相談で、稀にですが以下のような相談を受けることがあります。
「父が亡くなり、自筆証書遺言を見つけました。
封をしてありますが、まず中身を読んで、自分に有利なら公表し、不利なら破り捨てて、遺産分割をしたいと思いますが、よろしいですか?」
もちろん、「ダメでしょ!」となるわけですが、法律では、どうなっているか確認していきます。
まず、公正証書遺言以外の遺言書を発見した場合には、すぐに被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の検認を受けなければなりません。
検認は、家庭裁判所において、相続人等を集めて遺言書の内容を確認する手続きで、証拠保全を目的とします。
検認を受けずに、封のしてある自筆証書遺言を勝手に開封してはいけません。
開封すると、5万円以下の過料の制裁があります。
また、検認しないで手続きを進めても、同じく5万円以下の過料の制裁があります。
ただし、手続きが無効となるわけではありません。
なぜなら、検認手続きというのは、遺言書の偽造変造等を防止する証拠保全の手続きだからです。
しかし、遺言書の内容を見て、不利なら破棄する、となると大変です。
遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿は、相続人の「欠格事由」に該当します。
何も相続することができなくなる、ということです。
したがって、冒頭のような相談を受けた際には、
「そんなことをすると、相続欠格事由に該当して、何も相続できなくなります。
すぐに家庭裁判所に検認の申立をしましょう」
と助言することになります。