<前提条件>
1)ある法人A社に4月、税務調査がありました。
2)8月下旬、外注先が反面調査で税務署に呼ばれ、そこで外注先から内部告発がありました。
3)その内容は「A社が得意先B社社長にリベートを支払っている」というものです。具体的には、B社に対して1600万円で請求し、B社からそのまま入金を受けた後、B社社長個人に400万円を現金でキックバックしていました。
4)この事実は4月の調査時点では税理士も税務署も把握していませんでした。
5)リベートの資金は、法人A社から直接支出したのではなく、得意先C社から委託されていた取引の売上金をA社が一時的に預かり、その中から捻出していたとのことです。
6)参考として調べた資料(「交際費課税:リベートの相手方を明かせない場合の対応2~5」)には、以下のように記載されていました。
- 使途秘匿金は単に調査で相手方を明かさない場合ではなく、違法支出を対象とするため、一般的な商取引には該当しない
- 調査官に対する譲歩案としては、法人税基本通達9-7-20「費途不明の交際費」で損金不算入を主張するのが妥当
- 費途不明の交際費とした場合、重加算税は課されない
7)なお、A社社長はマージンの支払先であるB社社長の名前を税務署に伝える意思を持っています。
<質問>
1)このケースでは、C社からの委託取引で預かったお金は「A社の売上金」となり、そこから捻出したB社社長へのマージンとの差額は「C社への支払額(原価)」と考えられます。するとB社社長へのマージンは「費途不明金」扱いになる、という認識でよいでしょうか。
2)今回の取引には証拠資料が一切なく、A社社長の記憶に基づく証言しかありません。このような状況でも課税対象となるのでしょうか。
3)C社への原価については裏付け資料がなく、C社自身も売上計上していない状況です。この場合、
消費税:仕入税額控除不可
法人税:損金不算入
となるのでしょうか。
4)調べた内容によれば、違法支出に該当しないのであれば「使途秘匿金」ではなく「費途不明金」として処理し、重加算税を回避できる可能性があるとのことでした。今回のケースでもそのような主張は可能でしょうか。A社社長は「自分が利益を得ていない取引なので、自社で処理すべきものとは認識していなかった」と述べています。