税理士の先生より「事業譲渡の詐害行為該当性」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
株式会社である顧問先が、取引先から事業を譲り受けようとしています。
取引先は、借入金の負担が重く、返済が難しくなっていることから、倒産を避けて、従業員の雇用を守りたい、ということです。
事業譲渡にも詐害行為は適用されるでしょうか。また、顧問先のリスクがあれば、教えてください。
回答
1 詐害行為の対象になるか
事業譲渡とは、一定の営業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要なる一部を譲渡し、これによって譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせ、譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止義務を負う結果を伴うものをいいます(最高裁昭和40年 9 月22日判決)。
この事業譲渡は、組織法上の行為ではなく、個別の譲渡になりますので、詐害行為取消権の対象となります。
したがって、不当に低い価額により事業を譲り受ける等、詐害行為取消権の要件を満たす場合には、取引先の債権者から、詐害行為取消訴訟を提起される可能性があります。
なお、国税通則法42条が民法424条を準用していますので、租税滞納にも詐害行為取消権が適用されます。
2 商号続用責任
次に、顧問先が、事業譲渡後、取引先の商号を引き続き使用する場合には、原則として、取引先の事業によって生じた債務を弁済する責任を負います(会社法22条1項)。
ただし、顧問先が、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲渡会社の債務を負わない旨を登記した場合、または、取引先と顧問先の両方から債権者に対して債務を負わない旨の通知をした場合には、この責任を免れることになります(同条2項)。
なお、商号だけでなく、屋号を続用した場合にも商号続用責任が類推適用される可能性があります(最高裁平成16年2月20日判決、判例時報1855号141頁)。
3 会社法の直接履行請求
詐害的事業譲渡の場合には、・・・
4 第二次納税義務
事業譲渡に関しては、・・・
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