税理士の先生より「破産手続きと顧問契約」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
業績不振が続き破産手続き開始を検討している法人の顧問先があります。
破産手続きが開始された場合、顧問税理士である私にどのような責任が生じるのかご教授ください。
また、顧問料の滞納があるので契約を解除したいのですが、今期決算をしないことで何か私に責任が発生することはあるでしょうか。
回答
税理士と関与先との顧問契約は、一般的に「委任契約」と理解されています。
そして、委任契約は、委任者が破産開始決定を受けたときには、当然に終了することとされています(民法653条 2 号)。
民法第653条
委任は、次に掲げる事由によって終了する。
一 委任者又は受任者の死亡
二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。
三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。
したがって、顧問先が破産開始決定を受けると、顧問契約は終了することになります。
その前に、顧問契約を解除するには、契約解消の通知をする必要があります。
継続的顧問契約を解消するには、「解約」と「債務不履行解除」が考えられます。
解約は、税理士の都合によって、一方的に顧問契約を将来に向かって解消するものです。
民法651条1項は、「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と規定していますので、顧問契約をいつでも解約することができます。
しかし、同条2項は、相手方に不利な時期における解約の場合の損害賠償責任を規定しています。
たとえば、申告期限が3月末日であるのに、3月20日に突然顧問契約を解約すると、関与先は新しい税理士を探す時間的余裕がなく、そのために期限後申告になった場合には、その損害の賠償責任が発生する可能性があります。
会計帳簿の作成状況との兼ね合いもありますので、状況に応じて、1か月~2か月程度の余裕をもって解約通知の発送をしたいところです。
損害賠償の問題を生じさせないためには、・・・
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