被相続人は父、相続人は母・長女・長男です。
生前に委託者=父、受託者=長女、受益者=父という形で家族信託契約を締結していました。
その後、父の相続開始に伴い、信託契約に基づいて母が当該不動産の受益権を取得しています。
この状況で、母が受益者のまま受託者が不動産を売却した場合、空き家譲渡の3,000万円特別控除を適用できるかどうかを確認したいです。
居住の経緯は以下の通りです。
R2.9月まで父・母が同居
R2.10月に母が老人ホームへ入居、その後父が一人暮らし
R4.8月に相続開始
建物はS46年建築であり、形式要件は満たしていると考えています。
問題点は、先日国税庁が公表した文書回答事例です。
そこでは、
「信託が終了し残余財産が権利者に移転した場合」は「相続又は遺贈による被相続人居住用家屋等の取得」に該当せず、空き家譲渡の特例の適用を受けられない
と示されています。
本件は信託が終了しておらず、母が受益権を取得している状態です。
文書回答事例では「信託が終了し残余財産が権利者に移転した場合」のみ解説されており、信託継続中に受益権を取得した場合の取り扱いが不明確です。
今回のケースも、結論としては「空き家譲渡の特例を適用できない」と判断すべきでしょうか。