【前提】
上場準備中の会社(N-3期:上場の3期前)において、同じ日に株式の譲渡と贈与が行われました。
私(税理士)は、平取締役A、常勤監査役B、執行役員Cへの贈与について相談を受けています。
・会長→社長:株式譲渡、300,000円/株(純資産価額で評価)
・会長→A、B、C:株式贈与(20株、議決権割合0.1%)
※A、B、Cはいずれも同族株主ではなく、会長と社長が同族株主グループです。
私の検討の結果、配当還元方式で株価を算定し、30,000円/株となりました。
【質問】
この場合、A、B、Cに贈与された株式はそれぞれ
30,000円×20株=600,000円となり、基礎控除以下のため贈与税の申告は不要と考えています。
ここで疑問です。
同じタイミングで会長→社長に譲渡された株式(300,000円/株)が売買実例として存在する場合、税務署から贈与税の計算に300,000円/株を使用すべきではないかと指摘される可能性はありますか。
また、実際にそのような事例はあるのでしょうか。
あくまでも贈与であるため、売買実例に話が及ばないのではないかと考えています。
【調べた事項】
・相続税法22条
・財産評価基本通達
・税務大学講本 相続税法(令和5年版)P117
※取引相場のない株式には、市場取引や店頭取引で成立するような価格は存在しません。
仮に取引事例があっても、それは特定の当事者間で成立した価格や特別な事情下での価格であり、相続税法第22条に規定する時価(客観的交換価値)として評価するのは適当ではありません。
また、取引相場のない株式を発行する会社の事業規模や株主構成により、会社支配力に差があることから、評価会社の実態に応じた合理的評価が必要です。
財産評価基本通達では、会社を大会社・中会社・小会社に区分し、原則的評価方式と、少数株主等に適用する特例的評価方式を定めています。

 
                         
                         
                         
                         
						 
						 
						


