当事務所の顧問先である甲社(システム開発業・8月決算・代表者1名)は、毎期の売上のほぼすべてを乙社(システム開発業・3月決算)からの受注に依存している下請会社です。
甲社の決算にあたり帳簿を確認したところ、甲社と乙社との間で締結された契約の一つ(以下「契約A」)について、次のような経緯と経理処理が行われていることが判明しました。そのため、当事務所では取引の実態に基づいた決算処理を行う予定です。
【契約Aの経緯・経理処理】
・甲社は乙社から、受注金額約1,000万円、工期約1年間、引渡予定日を翌年秋頃とするシステム開発業務を受注しました。
・甲社はこの業務の約3分の2を外部へ発注し、残り約3分の1を代表者自身が担当することとなりました。外注費は総額約500万円で、工期中に毎月一定額ずつ支払う契約となっています。
・その後、乙社の決算期を迎えた時点で、乙社から次のような提案がありました。甲社としては、今後の受注への影響を懸念し、この提案を断ることができませんでした。
- 実際には契約Aは未完成であるものの、決算月中に完成・引渡しがあったものとして取り扱い、同月中に受注金額全額の支払いを行うこと。
- 注文書や完了報告書などの関係書類についても、工期や引渡日を実態とは異なる内容へ変更し、その書類を正式なものとして保管すること。
・甲社では、入金時に受注金額全額を売上として計上し、外注費については支払済み分のみを費用計上しています。
なお、当事務所と甲社との顧問契約は、年1回(毎年10月)の訪問を前提としているため、今回の訪問時に初めて甲社代表者から、上記の経緯について説明を受けました。
【当事務所で予定している決算処理】
当事務所では、契約の実態に即した会計処理を行うため、次の処理を予定しています。
・乙社から受領した受注代金は売上ではなく前受金として処理する。
・これに対応する支払済みの外注費およびその他の原価は、仕掛品として処理する。
【質問】
・契約Aについては、実際の取引内容と、甲社・乙社間で保管されている契約書類の内容が一致していない状況です。このような場合でも、実際の取引内容に基づき、上記の会計処理を行うことに問題はないでしょうか。
・当事務所では、実際の取引内容が正しいことを確認するため、取引の経緯や実態を記載した書面を作成し、甲社代表者の署名・押印を受けて保管する予定です。この対応で十分かどうかについてもご教示ください。
・そのほか、契約Aに関して、当事務所が事前に講じておくべき対応や、逆に行うべきではない対応がありましたらご教示ください。
なお、甲社代表者が最も懸念しているのは、甲社に対する税務調査を契機として乙社にも調査が及び、その結果、今後の取引関係に悪影響が生じることです。この点も踏まえ、ご意見をいただければ幸いです。




