執筆:弁護士・税理士 谷原誠

インボイス制度による税理士損害賠償リスクの解説、第4回目です。

関与先が受領する取引先からの適格請求書(修正適格請求書・返還適格請求書を含む)の記載内容の正確性(要件具備)及び適法性(発行者が適格請求書発行事業者であるかどうかどうかの確認を含む)の確認義務違反についてです。

これは見落としがあった場合に、どちらの責任か、トラブルが多発しそうな予感です。

依頼者が受領する取引先からの適格請求の記載内容に不備があった場合に、発行者が
適格請求書発行事業者でなかった場合、などにより、仕入税額控除が受けられなかったため、損害を被ったとして損害賠償請求をされることが想定されます。

論点としては、

(ア)適格請求書の記載内容の正確性等について、税理士が確認する義務があるのか

(イ)(ア)の義務がないとしても、税理士が適格請求書の記載内容その他の事情により、要件不備等を容易に気づけたにもかかわらず、これを見落としたことが注意義務違反になるか。

などが想定されます。

(ア)については、インボイス制度が開始される前に、関与先と税理士のどちらが要件具備について確認するのかをよく協議し、明確に取り決めた上で、確認する責任を負う者を契約書等に定めておくことが考えられます。

(イ)については、仮に、契約において、適格請求書の記載内容の適法性を依頼者が確認する、と定めていたとしても、税理士は、税務の専門家として業務を行うべき義務があるので、業務の過程において、適格請求書の記載内容が適法性を欠く状態にあることを具体的に認識し、又は容易に認識できるような時は、税理士として、依頼者が損害を被るのを回避すべく助言義務を負う、とされる可能性があります
(責任発生可能性の検討につき参考となる裁判例として、東京地裁平成24年3月30日判決(判例タイムズ1382号152頁)があります。)

したがって、税理士として、職員を含め、適格請求書を確認する際に、どの点をチェックすべきなのか、について、業務フローをマニュアル化しておくことが考えられます。

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