債権者の資産状況や支払能力等から見て、全額回収できないことが明らかな場合における、担保物の処分前の貸倒について教えてください。
事例①
担保物件は過去に競売申立を行い、3回売却を実施したが買い手がなく、裁判所の職権で競売取消決定を受けた。
その後も不動産業者や近隣住民に売却可能性を確認しているが、前向きな返答はない状況。
事例②
担保物件は橋の近くの法面部分に所在し、固定資産税評価額は数十万円あるものの、実際には売却が困難で実質的な価値はない状況。
原則として、事実上の貸倒は担保物の処分後でなければ貸倒として損金経理できません。
しかし、上記のようにそもそも担保物件の処分が困難な場合にも、貸倒損失の損金経理が認められるかが問題です。
当職の考えとしては、国税庁の質疑応答事例【担保物がある場合の貸倒】を根拠に、実質的に担保価値が全くないことが明らかな場合には、担保はないものとして取り扱って差し支えなく、貸倒損失は認められると考えています。
ただし、事例①②のように実質的な価値がないと判断した根拠(競売取消決定の資料や不動産業者・住民への聞き取りメモなど)を必ず保存しておくことが必須です。
この点について、ご見解をお聞かせください。