教会の牧師が信徒など個人から受領する寄付金について、課税関係を次のように整理していますが、この理解で問題ないか確認したいと考えています。
まず、所得税法には「非収益事業」という概念が存在しないため、寄付金であっても利益が生じれば課税対象となり、事業所得または雑所得として申告する必要があると整理しています。
一方、法人税法では、教会が人格のない社団等に該当する場合、非収益事業については課税対象とならず、申告義務も生じないとされています。
したがって、本件では、教会が人格のない社団等に該当する場合には寄付金は課税対象とならず、該当しない場合には牧師個人に所得税が課される、という理解になると考えています。
ここで、人格のない社団とは、多数人が一定の目的のために組織として結合し、構成員個人の集合ではなく、団体として統一の意思のもとに活動する存在とされています(法基通1-1-1)。
ただし、具体的な成立要件が税法に明示されているわけではないため、民法上の「権利能力なき社団(人格のない社団とほぼ同義)」に関する判例(最判昭和39年10月15日)を参考にすると、判断要素として以下の点が挙げられています。
- 団体としての組織を備えているか
- 多数決の原則が採用されているか
- 構成員が入れ替わっても団体が存続するか
- 代表者の選任方法や総会運営、財産管理など団体運営の主要事項が確定しているか
以上を踏まえ、本件ではこれらの要件を個別具体的に検討し、教会が人格のない社団等に該当するかどうか慎重に判断する必要があると考えています。
なお、判例上の要件はすべて満たしていなくても、状況によっては人格のない社団に該当する可能性があるとも理解しています。





