相続税法基本通達9-2「株式又は出資の価額が増加した場合」についてご相談です。
①事実関係
被相続人Aには相続人がなく、遺言により全財産(約1.6億円)を法人X(普通会社)へ遺贈する旨が記載されていました。
Aは法人Xの代表取締役社長でしたが、株主ではありませんでした。法人Xの株主構成は以下の通りで、いずれも赤の他人であるため、非同族会社に該当します。
株主構成
B 20(役員)
C 15(役員)
D 15
E 15
F 15
G 15
H 5
法人への遺贈が行われた場合、税務上のリスクとしては以下の3点が考えられます。
① 不動産に関するみなし譲渡所得税
② 受贈益に対する法人税
③ 株主に対するみなし贈与税
このうち③について、相続税法基本通達9-2では適用対象を「同族会社」としているため、本件のような非同族会社の場合、株主に贈与税は課されないのではないかと考えています。
ただし、相続税法第9条の趣旨である「租税回避行為の防止および税負担の公平性」の観点からすれば、9-2はあくまで例示規定に過ぎず、同族会社か否かにかかわらず、経済的利益を受けた場合には贈与税が課される可能性もあるのではないかとも思われます。
Aは法人Xの株主ではなく、役員としての関与にとどまります。法人X側から見れば他人からの遺贈であり、また株主間にも特別な関係はありません。
このようなケースでも、遺贈が「みなし贈与」として扱われ、株主に贈与税が課される可能性はあるのでしょうか。




