ある書籍に、『「損害賠償件の上限を原告が被告に支払った報酬の額とする旨の責任制限条項」は、無効とするのが裁判所です(横浜地裁H2.6.11判決 判例時報2483号)』と紹介されているのを目にしました。
この記載をきっかけに、責任制限条項の有効性と実務への影響について、ご見解をお伺いしたく存じます。

<問題意識の背景>
専門家である以上、損害賠償責任を完全に免れることができないのは理解しています。
しかし、責任制限条項そのものが「無効」とされるならば、税理士との顧問契約書は実質的に無内容に近いものになりかねず、依頼者との間でトラブルが生じた際には契約書が機能しないということにもなります。

そのような状況では、信頼関係がまだ十分に構築されていない新規の依頼者と契約を締結することへの心理的なハードルが高くなってしまいます。
また、責任制限条項の存在自体が依頼者に不安感を与えるだけであるとすれば、契約締結自体が難しくなるのではないかという懸念もあります。
なお、上記の裁判例について自身でも検索を試みましたが、確認することができませんでした。

<契約締結の目的について>
当方が税理士業務契約(または顧問契約)を締結する主な目的は、税理士が担う業務の範囲を明確にすること、そして依頼者に対して税理士の仕事内容を正しく理解してもらうこと、すなわち依頼者との間に生じる期待ギャップを防ぐことにあります。

損害賠償額の上限を定めることは、依頼者を不安にさせる意図ではなく、むしろ税務代理がそれだけ責任の重い業務であるという認識を示す意味合いも含んでいます。
実際に、税理士が損害賠償責任を負う場合があることをご存じなかった依頼者も少なからずいらっしゃいました。

<責任制限条項の有効性に関する私見>
責任制限条項が有効か無効かの判断は、一律に決まるものではなく、税理士が依頼者に対してどの程度の説明責任を果たしたか、依頼者が税理士からの質問や確認事項にどの程度協力的に対応したか、問題となった事項について十分に検討する時間的余裕があったかどうかなど、個別の事情を総合的に考慮したうえで判断されるものと理解しています。

そのため、契約締結の段階でお互いに当該条項の有効性について過度に神経質になる必要はないのではないかとも感じています。

不安を感じさせる記事を目にして気持ちが揺らいでいる部分もありますが、上記の裁判例が現在の契約実務においてどの程度の影響を及ぼしているのか、また責任制限条項についての実務上の考え方について、ご見解をお聞かせいただけますと幸いです。

回答(税理士を守る会)

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