平成24年6月27日国税庁長官「署課税部門における争点整理表の作成及び調査審理に関する協議・上申等に係る事務処理手続について(事務運営指針)」(TAINSコードH240627課総2-21)によると、更正等をする前提として、「争点整理表」が作成されることがわかります。
そして、争点整理表を作成したら、調査担当者から担当統括官に提出され、担当統括官は、当該税務署の審理担当者に対し、証拠を添付し、内容、処理方針等について説明を行います。
「審理担当者は、その争点等に係る証拠の収集・保全及び事実関係に即した事実認定並びにこれに基づく法令の適用が適切に行われているか、審理面から多角的な検討を行い、その結果を争点整理表の『審理担当者等の意見』欄に記載し、筆頭統括官の確認を受ける」(事務運営指針)こととされています。
したがって、審理担当者に法令の適用、事実認定を適切に行ってもらうためには、納税者において、正しい法令の解釈、事実認定の主張とともに、有利な証拠資料を提出し、争点整理表に添付されるよう努力することが必要となってきます。
審理担当者による処理後、事案によっては、税務署審理専門官の確認を受け、国税局主務課の支援や指導等を受けた上で、更正・決定・賦課決定等の判断がされることになります。
いったん更正・決定・賦課決定がされた場合には、後日、処分取消訴訟で処分の取消を求めたとしても、「税務訴訟は税務行政の適法性が公開の法廷で問われるものであり、個別事案としてマスコミの関心も高く、その結果は税務行政全体に大きく影響することから、的確な訴訟遂行により、勝訴判決を積み重ね税務行政に対する国民の信頼を確保していく必要がある」(国税庁課税部から平成21年10月5日に発出された全国国税局課税(第一・第二)部長(次長)会議資料)
とされており、正しい課税処分よりも敗訴判決による国民の信頼失墜を回避することの方が重要視される傾向にあります。
したがって、税務調査においては、誤った更正・決定・賦課決定がなされないよう、争点整理表に、納税者の主張及び証拠が記載されるよう調査対応および証拠提出をしていく必要があると思います。
今回は以上です。