税務調査の際、課税庁職員の態度に問題があるような場合、秘密裏に録音をすることがあると思います。

それ自体は違法ではありません。

しかし、後で税務調査の違法性を指摘し、「録音がある」というと、課税庁職員の態度は豹変します。

そして、「守秘義務の観点から消去してください」と迫ってきます。

では、税務調査において秘密録音をすることは、守秘義務に違反するのでしょうか?

税務調査での登場人物は、三者です。

・税務署職員
・税理士
・納税者

このうち、納税者には法律上守秘義務はありませんので、守秘義務は問題になりません。

次に、税務署職員ですが、国家公務員法第100条は、次のように定めています。

「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」

さらに、国税通則法第127条は、「国税に関する調査……に関する事務に従事している者又は従事していた者が、これらの事務に関して知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用したときは、これを二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と規定しています。

しかし、秘密録音は税務署職員の知らないところで行われており、職員は秘密を一切漏らしておりません。

したがって、納税者が秘密録音をしたからといって、税務署職員の守秘義務に違反したことになりません。

そして、これが後に流出したとしても、それは、納税者が流出させたものであり、税務署職員が流出したものでないので、やはり守秘義務違反にはなりません。

最後に税理士です。

税理士法第38条は、次のとおり定めています。

「税理士は、正当な理由がなくて税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない」

税務調査においてのやり取りは、内容に依頼人の売上や業務内容などがあると思いますので、依頼人の承諾なく、録音を第三者に渡したりしてはならない、ということになります。

したがって、録音を依頼人の承諾なく第三者に渡したりしない以上、税理士の守秘義務に反することにもなりません。

以上より、誰の守秘義務にも違反することになりませんので、「守秘義務により消去してください」と言われても、応じる必要はない、ということになります。

また、「消去しないなら、調査に非協力だ」として、青色承認取り消しをちらつかせてくることがあります。

しかし、秘密録音をしながら行われた調査は、すでに順調に終了しており、かつ、今後も質問に回答し、物件を提示するわけですから、調査非協力にもなりません。

今回は、以上です。

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