税理士損害賠償研究 会計事務所経営のリスク(非対面による税賠リスクなど) 新型コロナウイルス感染症による被害が長期化している。 この間、感染を回避するために、税理士会各支部などの会合や研修が中止になり、WEBによる実施などの工夫が行われている。 会計事務所の働き方についても、在宅勤務を導入する事務所も増えた。さらに、顧問先等への訪問をせず、WEB面談などへの切り替えも進んでいる。 さらには、...
税理士損害賠償研究 個人所得税における契約書の重要性 所得税の確定申告において、 依頼者との間で契約書を締結していない先生も多いと思います。 しかし、契約書はとても重要です。 私のところには、税理士の先生方から税賠の相談が多数寄せられます。 全ての税賠がTAINSに掲載されるわけではありません。 私の経験上は、多くのケースが裁判にならずに終わっていきます。 そこでは、契約...
税理士損害賠償研究 顧問料が未確定の場合、契約書にはどのように記載すればよいか? 「金額未確定の場合に契約書はどうするか」 についての解説です。 -------------------- 「税理士を守る会」で、過去にあった質問です。 「新規顧問契約を締結する法人があります。 契約書は締結したいと思いますが、現時点では、 作業量が判然としないので、料金を決められません。 そこで、当面契約書を締結せずに...
税理士損害賠償研究 役員への助言で税賠 「顧問先の役員個人に対する税務上の説明助言義務違反が問われた裁判例」 をご紹介します。 東京地裁平成12年6月30日判決 (TAINS Z999-0066)です。 (事案) ●依頼者Xは、進学教室及び学習塾の経営を 主たる業務とする有限会社A社の取締役であり、 税理士Yと顧問契約を締結していた。 ●取締役であるXは、過...
税理士損害賠償研究 契約を遡及させる場合の契約書の日付 税理士業務を行うについて、顧客との間で 契約書を締結していない、という先生も 多いことは承知しております。 しかし、契約書は税理士を税賠請求から守るもの でもあるので、ぜひ締結していただきたい、 と常々申し上げております。 そこで、昔からの顧問先との契約書を締結する ことになったが、税理士を守る条項などを 過去に遡及さ...
税理士損害賠償研究 税賠リスクが高い分掌変更による役員退職金の否認問題 分掌変更退職給与が否認された場合における課税は、ご存じのとおり、 「トリプルパンチ課税」と呼ばれるものです。 【法人税】 定期同額給与以外の給与になり、全額損金不算入 【所得税】 退職したことにならないので、給与所得課税 【源泉所得税】 給与所得になるので、徴収漏れ というものです。 そして、退職給与としての税務処理は...
税理士損害賠償研究 重加算税の取消裁決 平成30年10月2日裁決です。 相続財産である出資金の存在を知りながら、 相続税申告の際、税理士に告げなかったことが 隠蔽又は仮装と言えるかどうかが論点となった 事例です。 国側は、請求人が各共済契約について、 (1)関与税理士からの指示に基づき 解約返戻金相当額等証明書を取得したこと (2)被共済者等の名義を請...
税理士損害賠償研究 消費税の適切な課税選択の届出書について税理士に助言義務はあるか? 今回は、税理士損害賠償の裁判例のご紹介です。 平成26年3月26日判決 (TAINS Z999-0156)です。 ホテル業を営むグループ会社数社の 決算補助業務並びに法人税及び消費税の 申告業務を受任していた税理士及び 会計法人が、消費税に関し、 適切な課税選択の届出書を提出すべき助言を 怠った、として、損害賠償請求を...
税理士損害賠償研究 物納の助言指導義務違反が認定された裁判例 相続税申告業務における物納の 助言指導義務違反が認定された 税理士損害賠償の裁判例を紹介します。 名古屋地裁平成28年2月26日判決 (TAINS Z999-0170)です。 (事案) ●養親Bが死亡し、納税者が株式その他の財産を相続した。 ●納税者は、相続税を現金納付できなかったが、 税理士が物納について助言指導しな...
税理士損害賠償研究 礼金漏れで税賠になった裁判例 税理士損害賠償の裁判例の紹介です。 東京地裁平成21年10月26日判決 (判例タイムズ1340号199頁)です。 (事案) ●不動産賃貸業をしている原告が税理士であ る被告に対して,平成11年度から平成17年度までの 所得税の確定申告にかかる青色申告決算書及び 確定申告書の作成を委任した。 ●原告は、被告税理士に対し、...
税理士損害賠償研究 税賠に耐えうる証拠(エビデンス)の残し方(弁護士解説オンラインセミナー) 税理士損害賠償に備えるために、証拠に関して押さえておくべきポイントがあります。 そこで、このオンラインセミナーでは、弁護士の視点で、税務処理を判断し実施するうえで理解しておくべき「証拠(エビデンス)」の知識と実務上の留意点を解説いたします。 セミナー内容 ●税賠に耐えうる証拠の残し方【講師:弁護士・税理士 谷原 誠】 ...
税理士損害賠償研究 税理士が損害賠償請求されたときの対応方法 損害賠償請求をされた時 損害賠償を防止する証拠作りをしても、なお損害賠償請求をされる場合がある。 もちろん、善管注意義務に違反して依頼者に損害を与えた、ということであれば、損害賠償責任が発生する。 税理士に対する損害賠償請求発覚の端緒としては、 (1)税理士が自分で気づくケース (2)依頼者から指摘されるケース (3)...
税理士損害賠償研究 税理士への損害賠償請求と契約書の重要性 契約書の重要性 税理士に対する損害賠償事案は、税理士の明らかなミスによるものもあるが、 ①「税理士の業務範囲に含まれていたか」という業務範囲の問題 ②「税理士が積極的に調査すべきであったのか、依頼者の側から申告すべきであったのか」という責任範囲の問題 ③「本件は、税理士が説明すべき内容であるのか」「税理士は説明したとい...
税理士損害賠償研究 税理士の外部への再委託の守秘義務 最近、たて続けにご相談を受けたので、【法的に正確な理解】をしていただくため、ご説明いたします。 税理士業務のうち、記帳代行部分を外部の記帳代行会社に再委託している先生も多いかと思います。 その際、法的に注意すべき点があります。 ・再委託の許可 ・守秘義務 という点です。 税理士の顧問契約は、多くの場合には、【委任契約】...
税理士損害賠償研究 契約書が否定された事例 国税不服審判所平成30年10月3日裁決 契約書の効力が否定された事例です。 事案 請求人が所有し、駐車場として賃貸していた土地について、請求人とその子らとの間において締結した使用貸借契約及び本件各土地上のアスファルト舗装等の贈与契約がありました。 請求人は、上記契約書により、本件各土地の賃貸人としての地位が請求人からそ...
相続実務 未分割申告の税理士損害賠償判例 今回は、税賠判例のご紹介です。 東京地裁平成30年2月19日判決(TAINS Z999-0172) 未分割申告により税理士敗訴(損害賠償が認められた)となったものです。 (事案) 被相続人:A 相続人:X、B、C、D、E ●Aは遺言により、全財産をXに相続させる旨意思表示をした。 ●相続財産の中には、小規模宅地等の特例...
税理士損害賠償研究 知りながら告げなくても重加算税取消 今回は、国税不服審判所の裁決の中から、「重加算税賦課決定が取り消された事例」についてご紹介します。 令和元年11月19日裁決です。 相続人が預金の存在を知りながら税理士に伝えなかった事例です。 そして、担当税理士も税務調査の際、「私に見せていないのだからそうなります。」と諦めていた事案です。 (事案) ●請求人の兄が死...
税理士損害賠償研究 所得税法上の給与所得と事業所得の区別の判断基準 今回は、所得税法上の給与所得と事業所得の区別の判断基準について、有名な最高裁判決を確認しておきたいと思います。 ある役務の提供が給与所得か事業所得かを判断するについては、「消費税基本通達1-1-1」を参考にしている先生も多いと思います。 しかし同通達は、「出来高払いの給与と請負による報酬」の区分に関する判断基準を示して...
税理士損害賠償研究 懲戒処分の事例 今回は、「懲戒処分の事例」についてご紹介します。 国税庁が発表した事例としては、以下のとおりです。 被処分者は、関与先であるA社及びB社の法人税の確定申告に当たり、決算期末に債務が確定していない費用を損金に算入することによって、所得金額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。 また、これに伴い、両社の消費税及び地...
税理士損害賠償研究 税理士への損害賠償責任と注意義務 税理士の損害賠償責任 税理士の業務には、税務代理、税務書類の作成、税務相談(税理士法2条1項)その他、様々なものがあるが、税理士と依頼者との契約は、法的には委任契約とされている(最高裁昭和58年9月20日判決)。 税理士がミスをした時は、委任契約の受任者としての義務に違反したとして、債務不履行に基づく損害賠償責任が発生...