所得税の確定申告において、
依頼者との間で契約書を締結していない先生も多いと思います。

しかし、契約書はとても重要です。

私のところには、税理士の先生方から税賠の相談が多数寄せられます。

全ての税賠がTAINSに掲載されるわけではありません。

私の経験上は、多くのケースが裁判にならずに終わっていきます。

そこでは、契約書の有無、内容がとても重要になってくるのです。

対法人とは、顧問契約書を締結していると思います。

しかし、所得税の契約書は、また別です。

たとえば、単発で所得税確定申告を受託した場合でも、

・翌年のために簡易課税の届出書を提出するよう
助言をしなかったために損害が出た

・国外転出の際の手続きの助言をもらえなかった

など、様々です。

これらについては、契約書で説明義務から除外したり、
依頼者からの説明義務にしておくことで
かなりトラブルを回避することができます。

東京地裁平成24年3月30日判決でも、

「顧問契約上なすべき義務は、契約書に明記された
税務代理や税務相談等の事項に限られる」

「委任事務の遂行に必要な資料等を提供する責任は
依頼者にある、と定められている」

など、契約書の記載が重視されています。

契約書においては、上記のようなことや、

・所得と認定される収入についての報告義務を
依頼者に課す

・資料提供責任を依頼者に課す

・資料不備がある場合には、将来不利益があることの説明

・損害賠償を受ける場合の賠償額の制限

・遠方依頼のための裁判管轄の定め

など、多数定めることがあります。

また、個人事業主と非事業主では、損害賠償の制限条項の
書き方を気をつけないと、無効になります。

いちいち契約書を締結できない場合でも、少なくとも
メールに契約書を添付し、それに署名押印してもらって
メールで返信してもらう、くらいのことはした方が
いいでしょう。

税理士会での研修でも毎回申し上げていますが、
最低限、契約書は締結することをおすすめします。

「税理士を守る会」の会員の先生は、
・所得税(個人事業主版、非事業主版)
・法人税
・資産税(相続、贈与)
など各税目の契約書の雛形が使い放題となっています。

書式の一覧はこちらです。

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