今回は、「懲戒処分の事例」についてご紹介します。
執筆:弁護士・税理士 谷原誠
国税庁が発表した事例としては、以下のとおりです。
また、これに伴い、両社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。
処分としては、「税理士業務の禁止」です。
税理士業務の禁止は、税理士登録抹消処分され、処分日から3年を経過する日まで税理士資格なし、ということで、かなり厳しい処分です。
関与先の社長から、
「今期は利益が出すぎたので、税金を少しでも安くしたい。来月確定する支払を前倒しして今期に計上できないか」
と依頼されて応じてしまうと、上記のような懲戒処分に該当する可能性がある、ということです。
以下は、関連条文です。
まず税理士法。
税理士法第45条1項
財務大臣は、税理士が、故意に、真正の事実に反して税務代理若しくは税務書類の作成をしたとき、又は第三十六条の規定に違反する行為をしたときは、二年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止の処分をすることができる。
そして、費用の年度帰属は、法人税法です。
法人税法第22条3項
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
※上記の2号括弧内です。
以前にメルマガでご紹介した、以下のような懲戒処分もありますので、注意したいところです。
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被処分者は、関与先であるA社及びB社の消費税及び地方消費税の確定申告に当たり、従業員に対する給与について、その一部を外注費に計上することによって、消費税及び地方消費税額を圧縮した真正の事実に反する申告書を作成した。
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今回は、以上です。