税理士の先生より「外部業者に対する貸付金を支払いから相殺できるか」について、税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
顧問先は、外部業者に金銭の貸付けを行っています。
今般、業者からの回収が滞っている状態が継続していることから、業者への支払いから貸付金の一部を相殺することを検討しています。
なお、金銭消費貸借契約書は作成しておらず、返済方法、時期などの取決めは曖昧な形です。
雇用関係があれば、労働基準法24条 1 項より、労使協定がないと給与天引きで貸付金の回収はできないと思いますが、外部業者の場合は、どのような取扱いになるでしょうか。
回答
貸付金について、返済期限を定めていなければ、いつでも返済を求めることができます。
返済を求めたときに返済期限が到来することになります。
そして、相殺に合意は必要なく、両方の債権が弁済期にあれば、一方的な意思表示で行うことができます。
ただし、相殺禁止を合意していたらできませんので、金銭消費貸借契約書は締結していない、ということですが、本来の取引にかかる契約書などで売掛金、貸付金両方について相殺禁止規定がないか、ご確認ください。
相殺の意思表示は、内容証明郵便で証拠を残して行うことになります。
外部業者に対して相殺するのであれば、まず外部業者からの製品の納入または役務提供の完了を待ちます。
その後、内容証明郵便を発送しますが、貸付金の弁済期を到来させないといけないので、
・貸付金の返済を請求する旨
・貸付金と、買掛金(契約と金額を特定します)とを「対当額」で相殺する旨
の意思表示を記載して行います。
たとえば、以下のように記載します。
「弊社は、貴社に対し、○年○月○日付け金銭消費貸借契約に基づく貸付金残元本として、金○○万円の貸金請求権を有しています。本書面をもって、その全額及び支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払いを求めます。
これに対し、弊社は、貴社に対し、○年○月分の商品代金として、金○○万円の買掛金債務を負担しています。
そこで、・・・
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