【この記事の著者】
公認会計士・税理士 佐藤信祐先生
掲載日 2023/4/19

平成22年度税制改正により、合併法人又は被合併法人のいずれかが5年以内に設立された新設法人である場合において、当該合併法人の設立の日又は被合併法人の設立の日のいずれか遅い日から適格合併の日まで支配関係が継続しているときは、原則として、繰越欠損金の引継制限・使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入が課されないことになりました(法法57③④、62の7①)。

しかしながら、被合併法人又は合併法人の設立の日から適格合併の日まで支配関係が継続していたとしても、
①新設法人が適格組織再編成を行っていた場合
②新設法人の完全子会社が解散し、残余財産が確定した場合
には、それぞれ繰越欠損金の引継制限・使用制限及び特定資産譲渡等損失額の損金不算入が課されています(法令112④二、⑨、123の8①二)。

ただし、支配関係が生じてから5年を超えている法人のみが当事会社である場合には、このような問題は生じません。

例えば、10年以上前から、P社がA社の発行済株式の全部を保有し、かつ、A社がB社の発行済株式の全部を保有している事案を考えてみましょう。

このような場合に、A社を分割法人とし、C社を分割承継法人とする適格新設分割型分割を行った後に、B社を被合併法人とし、C社を合併法人とする適格合併を行った場合にはどうなるでしょうか。

条文上、

「当該被合併法人等との間に支配関係がある他の法人を被合併法人、分割法人、現物出資法人又は現物分配法人とする法第五十七条第四項に規定する適格組織再編成等で、当該内国法人を設立するもの又は当該被合併法人等が当該他の法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日以後に設立された当該内国法人を合併法人、分割承継法人、被現物出資法人若しくは被現物分配法人とするものが行われていた場合(同日が当該五年前の日以前である場合を除く。)」

と規定されていることから、上記の事案に当てはめると、被合併法人(B社)との間に支配関係がある他の法人(A社)を分割法人とする適格組織再編成等で、当該内国法人(C社)を設立するものが行われていた場合には、B社とC社との間の支配関係が生じてから5年を経過していなければ、繰越欠損金の引継制限、特定資産譲渡等損失額の損金不算入が課されるようにも思えます。

しかしながら、「同日が当該五年前の日以前である場合を除く」と規定されており、「同日」とは、「当該被合併法人等が該他の法人との間に最後に支配関係を有することとなつた日」をいうことから、B社とA社の間の支配関係が生じてから5年を経過していれば、繰越欠損金の引継制限、特定資産譲渡等損失額の損金不算入は課されないという整理になります。

このように、新設法人の判定については、条文がやや複雑になっているので、実務上は、常に条文を確認するようにしてください。

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