税理士の先生より「協業組合の自己株式の取得の可否」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
協業組合は自己株式を取得できますか。
できない場合は、既存組合員が買わざるを得ないのでしようか。
回答
協業組合は、「中小企業団体の組織に関する法律」(以下、「法」といいます)に規定する協業組合であることを前提として検討します。
また、協業組合は株式を発行しませんので、自己株取得ではなく、「協業組合が組合員の有する持分を取得することができるか」というご質問として理解したいと思います。
同法には、自己持分の取得に関する条項はありません。
また、法 5 条14の 4 項は、協同組合法17条 2 項から 4 項を準用しています。
協同組合法171条 2 項は、「組合員でないものが持分を譲り受けようとするときは、加入の例によらなければならない。」とされています。
協業組合は、「組合員」ではありませんので、持分を譲り受けるには、加入しなければなりませんが、協業組合は、加入し、組合員になることはできません。
したがって、協業組合は、持分を取得することはできない、と解されます。
組合員が持分の譲渡をするには、組合員にするか、非組合員が加入して譲り受けるか、ということになるかと思います。
あるいは、法第38条によって持分の払戻しを受けるか、ということになるかと思います。
中小企業団体の組織に関する法律第38条
1 非出資組合の組合員は、30日前までに予告して脱退することができる。
2 前項の予告期間は、定款で延長することができる。ただし、その期間は、90日をこえてはならない。
3 組合員の脱退については、協同組合法第19条(法定脱退)の規定を、出資組合の組合員の脱退については、協同組合法第18条(自由脱退)及び第20条から第22条まで(持分の払戻)の規定を準用する。
協同組合法第20条
1 組合員は、第18条又は前条第1項第1号から第4号までの規定により脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。
2 前項の持分は、脱退した事業年度の終における組合財産によって定める。
3 前項の持分を計算するにあたり、組合の財産をもつてその債務を完済するに足りないときは、組合は、定款の定めるところにより、脱退した組合員に対し、その負担に帰すべき損失額の払込を請求することができる。
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