税理士の先生より「少数株主からの会計帳簿等の閲覧請求への対応」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

顧問先(特例有限会社)に対し、少数株主(約10%所有)から、「過去の決算書等が見たい。詳細がわかるのは会計事務所だろうから、会計事務所に出向く。社長から会計事務所に連絡をしておいてくれ。」との請求がありました。

この場合、

1 .少数株主に決算書等を見せることに問題はないのか
2 .見せることになった場合、何処まで見せなくてはいけないか
(申告書、勘定科目内訳書、元帳なども開示しなくてはいけないか)
3 .社長は拒否したいらしいのですが、その場合は正当な理由をつけることができるか

についてご教授いただければと思います。

回答

約10%の株式を有する株主には、計算書類等の閲覧請求権(会社法442条3 項)、会計帳簿の閲覧請求権(同法433条 1 項)があります。

会社法第442条

1  株式会社は、次の各号に掲げるもの(以下この条において「計算書類等」という。)を、当該各号に定める期間、その本店に備え置かなければならない。

一 各事業年度に係る計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書(第436条第 1 項又は第 2 項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 定時株主総会の日の 1 週間(取締役会設置会社にあっては、 2 週間)前の日(第319条第 1 項の場合にあっては、同項の提案があった日)から 5 年間
二 臨時計算書類(前条第 2 項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。) 臨時計算書類を作成した日から 5 年間

2  株式会社は、次の各号に掲げる計算書類等の写しを、当該各号に定める期間、その支店に備え置かなければならない。ただし、計算書類等が電磁的記録で作成されている場合であって、支店における次項第 3 号及び第 4 号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっているときは、この限りでない。

一 前項第 1 号に掲げる計算書類等 定時株主総会の日の 1 週間(取締役会設置会社にあっては、 2 週間)前の日(第319条第 1 項の場合にあっては、同項の提案があった日)から 3 年間
二 前項第 2 号に掲げる計算書類等 同号の臨時計算書類を作成した日から3 年間

3  株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第 2 号又は第 4 号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 計算書類等が書面をもって作成されているときは、当該書面又は当該書面の写しの閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 計算書類等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

4  株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、当該株式会社の計算書類等について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし、同項第 2 号又は第 4 号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

会社法第433条

1‌ 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

一 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

2‌ 前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。
  
一 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。
二 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。
三 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。
四 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。
五 請求者が、過去2年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

3‌ 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿又はこれに関する資料について第1項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

4‌ 前項の親会社社員について第2項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。

計算書類は、計算書類、事業報告、附属明細書であり、会計帳簿は、計算書類等の作成の基礎となる総勘定元帳、仕訳帳、伝票、契約書等とされています。

申告書は含まれません。
 
税理士は守秘義務がありますので、・・・

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