税理士の先生より「税務調査と憲法16条の請願権の関係」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
税務調査の結果と憲法16条の請願権の関係を知りたいです。
税務調査の税務職員の横暴な対応と一方的な課税権の行使について税務署長に訴えたい、と考えています。
回答
請願権は、憲法で保障された権利ですが、その本質は、「請願を受理するという国務を請求する権利」とされており、請願を受理し、誠実に処理する義務を負わせるにとどまり、請願内容に応じた措置をとるべき義務を負わない、とされています(『憲法』佐藤幸治、556頁)。
過去の裁判例では、東京高裁平成23年 6 月 8 日判決は、「請願をしたことにより、請願者と請願を受けた官公署との間に、特別な公法上の法律関係を生じさせるものではなく(請願者による官公署に対する希望、意見、提言等の陳述に過ぎない。)、また、請願者に対し、当該官公署に請願の内容について審理を求め、あるいは、その採否や結果の通知等を求める権利を生じさせるものではない」と同時に、「請願法 5 条に規定する誠実処理義務は、官公署の事務処理上の行為規範に過ぎないから、官公署は、請願を受理した場合でも、請願者に対して請願処理手続上の義務を負うものではない」としています。
つまり、受理はしてもらえますが、請願自体にたいした効力はない、ということになります。
なお、請願をする場合の手続きは「請願法」に規定してあります。
税務調査における「税務職員の横暴な対応」については、統括官や税務署長に対する苦情申立てや、「納税者支援調整官」に対する苦情申立てを行うことになるかと思います。
https://www.nta.go.jp/about/introduction/shokai/kiko/nozeishash-ien/index.htm
さらに、・・・
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