執筆:弁護士・税理士 谷原誠
会計業務委託契約書/会計業務再委託契約書/再委託に関する合意書など
税理士の先生より「株主総会で決算のやり直しを求めることはできるのか」について、税理士を守る会(初月無料)でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
会社法では株主総会で承認することで決算が確定すると思います。
このとき、株主が 1 人の会社が、前期の決算書が気に入らないことを理由に、決算のやり直しと再度株主総会での承認をするということは、会社法上可能なことなのでしょうか。
総会決議に瑕疵があれば、株主総会のやり直しはできると思いますが、決算書が気に入らないという理由だけで確定した決算をやり直せるか疑問に思いました。
回答
法律上は、株主総会が適法に開催され、決議されたのであれば、それで決算承認の法的効果が発生しますので、やり直しという概念はありません。
やり直すとすれば、一度決算書類は承認されたが、事実上修正して株主総会の承認を得た、ということになると思います。
では、法人税の確定申告をどちらの決算書に基づいて行うか、ということですが、法人税の確定申告は必ずしも会社法と厳密に連動していません。
本来は、決算書類を作成し、株主総会で承認して確定させ、それに基づいて法人税の申告をする、ということになります。
しかし、裁判例では、仮に株主総会よる承認決議がなくても、法人税の申告は有効と解しています。
この点、
福岡地裁平成19年1月16日判決は、「決算がなされていない状態で概算に基づき確定申告がなされた場合は無効にならざるを得ないが、会社が、年度末において、総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し、これに基づいて確定申告した場合は、当該決算書類につき株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても、確定申告は無効とはならず、有効と解すべきである。」
としています。
そして、税理士としては、納税義務の適正な実現を図ることが使命になりますので、・・・
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