執筆:弁護士・税理士 谷原誠

今回は、「税理士を守る会」での質疑応答についてご紹介します。

「税理士を守る会」では会員先生より
毎日のように法的トラブルや
判断が必要な内容に関する質問が
毎日のように届いています。

そのうち、多くの会計事務所に
役立つ内容を一般化してご紹介いたします。

(質問)

法人税法74条1項は、

「内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から
二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に
基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出
しなければならない。」

とされており、「確定した決算」が必要とされています。

しかし、法人顧客からの税務申告依頼の際、
株主総会議事録がないケースや、株主総会招集通知を
発していないケースも多々あると思われます。

このような場合に、法人税の申告が
無効となることはありますか?

何か念書のようなものをもらうには、
どうしたらよいですか?

(回答)

定時株主総会による決算承認を受けた事実が
あるかどうかは、株主総会に出席しなければ
確認ができません。

また株主総会議事録を作成していない中小企業も
多いと推測されます。

それでも法人税の確定申告をしなければならないので、
論点としては、

・定時株主総会による決算承認を得ない法人税確定申告の有効性

ということになります。

これが無効ということになると、日本中に無効な
法人税申告が溢れかえることになるので、
裁判所としても、有効にするロジックを構築してます。

平成19年1月16日福岡地裁判決です。

「決算がなされていない状態で概算に基づき
確定申告がなされた場合は無効にならざるを得ないが、
会社が、年度末において、総勘定元帳の各勘定の
閉鎖後の残高を基に決算を行って決算書類を作成し、
これに基づいて確定申告した場合は、当該決算書類につき
株主総会又は社員総会の承認が得られていなくても、
確定申告は無効とはならず、有効と解すべきである。」

そこで、以下の点に注意して申告業務を受任して
いただければと思います。

・総勘定元帳の各勘定の閉鎖後の残高を基に決算を行っているか

・当該決算書類に基づき税務書類を作成する

実際に確認できない場合には、上記の点及び

「仮に上記事実と異なることによって会社が損害を
 被った場合にも、税理士に対して損害賠償その他
 一切の請求をしない」

旨について会社から誓約書をもらうと
よろしいかと思います。

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