税理士の先生より「期限間近の申告業務の依頼の断り方」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。

質問

法人税について、 3 月決算・ 5 月申告の依頼が 3 月にありました。

会計データを受領したところ、12月までは会計データの入力がありましたが、 1 月~ 3 月までの入力がありません。また、内容も 1 年分遡らないと正確な会計データにできない状態です。

1 年分を遡って顧問料をもらうわけにはいかないので、 3 月分まで前任税理士に入力してもらうよう会計データを返却しました。

まだ契約書を締結していませんが、この状況で申告期限ぎりぎりに資料が提出されたり、あるいは提出された資料が不十分で申告に耐えないようなものしか提出されない場合には依頼を断りたいと思います。

その場合、税理士が損害賠償責任を負担することがあるでしょうか。

回答

本件では、「期限内申告が不可能になった」として後日紛争が生じる可能性があります。

契約書は締結していませんが、契約は口頭でも成立するので、納税者側では、「引き受けると言った」と主張して、紛争になる可能性があります。

「契約は成立していない」となった場合でも、納税者において、「税務書類を作成してくれると期待するのも、もっともな状況」であると認定され、「契約締結上の過失」を問われて、損害賠償請求をされる可能性があります。

対 策

「契約締結上の過失」というのは、契約が成立していない場合にも損害賠償責任を認める概念です。契約締結の段階、又はその準備段階における契約締結を目指す一方の当事者の過失であり、契約内容に関する重要な事項について調査・告知しなかったり、相手方の合理的期待を裏切るような行為をすることにより、契約締結後、あるいは契約不成立により不測の損害を被った相手方を救済するための法理論をいいます。

したがって…

さらに詳しくは「税理士を守る会(初月無料)」にて解説しています。

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