税理士の先生より「自己破産前の売買と詐害行為」について、
税理士を守る会でご質問をいただきましたのでご紹介いたします。
質問
ある関与先が債務超過の上、多大な借金をかかえ、行詰りの状態であります。
銀行からの借入の返済を迫られ、やむなく自宅を父親に売却してそのお金で銀行に返済をしました。まだ、借入金が5,000万円以上あり、返済の見込みもたたないので自己破産をする予定でいます。
関与先が心配されているのは、これから自己破産する際に、最近、父親に譲渡した行為は否認されるか、ということです。本人には何も財産はありません。
回答
今回の自宅売却の売買価格が、適正額より低い場合には、詐害行為否認として、否認される可能性があります(破産法第160条第 1 項)。
破産法第160条第 1 項
次に掲げる行為(担保の供与又は債務の消滅に関する行為を除く。)は、破産手続開始後、破産財団のために否認することができる。
一 破産者が破産債権者を害することを知ってした行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
二 破産者が支払の停止又は破産手続開始の申立て(以下この節において「支払の停止等」という。)があった後にした破産債権者を害する行為。ただし、これによって利益を受けた者が、その行為の当時、支払の停止等があったこと及び破産債権者を害する事実を知らなかったときは、この限りでない。
この価格の適正額は、税務上の「低額譲渡」の基準とは異なり、適正額よりも少しでも低いと、破産管財人から否認される可能性があります。
自宅に銀行の根抵当権設定登記がされており、オーバーローンのような場合には、銀行が価格の相当性を吟味するので、詐害行為になることはないと思いますが、そうでない場合は、・・・
さらに詳しくは「税理士を守る会(初月無料)」にて解説しています。