相続税や贈与税の相談を受ける中で、近年特に増えているのが、「これはみなし贈与に該当するんですか?」という問い合わせです。
実はこの“みなし贈与”、これまで一部の取引に限られた特殊な論点と思われがちでしたが、いまや 事業承継・資本政策・組織再編などの現場で日常的に登場するテーマになっています。
たとえば、自己株式の取得や持株会社化、資産の移動に関連する再編スキーム──これらの初期段階で、「気づかないうちにみなし贈与が成立していた」というケースは決して珍しくありません。
多額課税リスクは、「想定の甘さ」から生まれる
みなし贈与は、事後的に申告対応することも可能です。
しかし、問題はそこではありません。
初期の段階で税額シミュレーションを行い、そのインパクトを関係者に正確に説明できているか。
この一点が、後のトラブルを避けるうえで極めて重要です。
特にコンサルティングを伴う案件では、対応のタイミングひとつで税負担が大きく変わることも。
にもかかわらず、「あとから計算すればいい」「何となく大丈夫だろう」という曖昧な処理のまま進めてしまっている例も少なくありません。
実務に活かせる“みなし贈与の整理”はまだ足りていない
これまで多くの実務書では、みなし贈与は「贈与の一形態」として軽く触れられる程度で、真正面から論点を掘り下げるものはほとんどありませんでした。
「知らなかった」「たまたま気づかなかった」──そうした“うっかり”が、大きな課税問題につながるからこそ、今改めて正面から向き合う必要があります。
実務の流れで判断に迷わないために
みなし贈与の論点は、突き詰めれば次の3点に集約されます。
•どこに“みなし”のリスクが潜んでいるかを早期に察知できること
•該当するかどうかの判断を自信をもって説明できること
•関係者に正確な税額インパクトを提示できること
これらを押さえた上で、普段よく遭遇する事例はもちろん、稀なケースでも迷いなく処理できる「思考の型」を持っているかどうか。
そうしたニーズに応える形で、みなし贈与に真正面から向き合った実務書をご紹介します