【1】概要
顧問先であるA社は、複数のエンドユーザーから輸入委託を受けており、消費税の還付申告や更正の請求を行っております。これにより多額の還付金が発生し、大きな利益が計上される見込みとなっています。
〈還付予定額〉
・令和5年1月 消費税還付申告:4,000万円
・更正の請求:2,400万円
A社は11月決算の法人で、直近で1月申告が終了したばかりです。繰越欠損金は約3,600万円あり、売上高は毎期5,000万円~7,000万円程度となっています。
【2】質問
還付金の影響により大幅な利益が生じる可能性が高いため、今期の役員報酬や事前確定届出給与の設定を検討している状況です。
前期は損失が続いていたため、1月の時点で役員報酬を0円としていました。ただし、他の会社から代表者役員報酬として月30万円を受け取っています。
(1)事前確定届出給与について
代表者からは「月額100万円以上の役員報酬を計上すると社会保険料が毎月大きな負担となるため、事前確定届出給与のみを計上できないか」という相談がありました。
還付金の入金時期が不確定であることが課題ですが、代表者は「6月に代表者本人へ1,200万円、配偶者(取締役)へ600万円の賞与を計上したい」と提案しています。
①このように売上規模に対して還付金が突出して多額となり、利益が大幅に発生する状況において、事前確定届出給与のみを計上した場合でも、税務上否認されることはないのでしょうか。
②役員報酬に関して、定期同額給与の数倍を支給することが妥当かどうかの基準は存在するのでしょうか。
※なお、代表者の配偶者は登記上取締役であり、経理業務をある程度担当しています。
(2)役員報酬の妥当性について
役員報酬額は「実質的基準に基づく適正額」である必要があるとされています。しかし、A社は売上規模に比して還付金が大きく、大幅な利益が発生する可能性のある法人です。
代表者からは「事前確定届出給与を考慮しつつ、代表者役員に月100万~200万円、配偶者に月40万~50万円を計上したい」との提案があります。
代表者の役員報酬については、基本的に自由に設定可能と考えております。配偶者に関しても登記上は取締役となっており、代表者の半額程度であれば問題ないのではないかとも考えています。
社長の提示している役員報酬の水準について、税務上の問題は生じないか、ご教示いただきたく存じます。